「ペーパーレスの意味や定義、メリット・デメリットは?」
「デジタル化を図るには何を導入すればいい?」
このようにお悩みではありませんか。この記事では、ペーパーレスの意味や定義、メリット・デメリットなどの情報を総合的に解説しています。
また、デジタル化を行う方法や導入すべきITシステムなどに関する情報も紹介。 ペーパーレスに関して一から学べる内容となっているので、ペーパーレス化を考えている方はぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている昨今、電子契約の導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか?電子契約サービス29社を徹底比較した筆者が、みなさまの円滑な電子契約導入をサポートいたします。顧問弁護士による記事のリーガルチェックも経験済み。
【目次】
ペーパーレス化とは
ペーパーレス化とは、「ペーパー(紙)」を「レス(無い状態)」にすること。 主にビジネス業界で使用される言葉であり、ビジネスにおいて生じる様々な書類を電子化する取り組みを意味します。
日本のペーパーレスの世界と比べた現状
「日本は外国と比べてペーパーレス化が遅れている」といった話を耳にした経験のある方も多いでしょう。 事実、海外では契約書や請求書などは電子文書が当たり前の国も多い一方、日本ではまだまだ紙の書類を使用する場面が多くなっています。ペーパーレス化やデジタル化に成功している国の例としては、ヨーロッパの「エストニア」が有名です。 エストニアでは行政手続きの電子化が非常に進んでおり、国民のほとんどが電子IDカードを所持している実情があります。
日本でペーパーレス化が進まない理由と原因
日本でペーパーレス化が進まない原因には様々な考察がありますが、大きな要因の1つに印鑑の存在があります。 日本では古くから印鑑とともに歩んできた歴史があり、日常生活においてもビジネスにおいても印鑑は大切な存在です。特にビジネスにおいては契約書をはじめとする様々な書類に捺印が必要であり、その承認フローにおいて複数名の押印が求められるケースも多いですよね。
「紙への記名捺印が決裁には欠かせないもの」という習慣が根付いているからこそ、日本のペーパーレス化は海外ほど進まなかったのでしょう。
最近になって「印鑑は本当に必要?」と問われる場面が増え、徐々にペーパーレス化のスピードは加速しています。 また、紙に置き換わる便利なITツールやクラウドサービスが多数登場していることからも、日本におけるペーパーレス化はより進んでいくことでしょう。
ただ日本の印鑑文化は趣ある素晴らしいものなので、1つの文化としては残り続けてほしいですね。
ペーパーレス化の成功事例
大企業や中小企業、医療機関や銀行、地方自治体など様々な分野でペーパーレス化の成功事例が生まれています。 ペーパーレス化に成功したことで、次のような恩恵を受けられた組織が多数あります。- 無駄な業務が減り働き方の見直しにつながった
- 紙やインクなどのコストを大幅に削減できた
- 年間数千万円もの印紙税の削減になった
- 組織内での情報共有がスムーズになった
ペーパーレス化をすることでどのようなメリットがあるのかは次の項目で詳しく解説しますが、多数の組織がペーパーレス化に成功している事実を覚えておきましょう。
導入するメリット
企業や団体がペーパーレス化を行うことには、いくつもの目的やメリットがあります。 こちらではペーパーレス化で得られる代表的なメリットをチェックしてみましょう。
コスト削減になる
ペーパーレス化における代表的なメリットに「コスト削減」があります。ペーパーレス化を行うことで、次のようなコストを削減できます。- 印刷コスト(紙・インク・プリンターなど)
- 印紙税
- 文書保管コスト(施設・設備・備品など)
- 郵送コスト
- 廃棄コスト(シュレッダー・業者への委託など)
- 人件費
紙をなくすのですから、印刷コストが削減できるのは当然です。また、課税文書に該当する書類を電子化することで、印紙税の削減にもなります。
そのほか、後述しますがペーパーレス化により紙文書を保管するスペースも必要なくなります。 文書の保管には物理的なスペースはもちろん棚や箱、ファイルなど様々なコストがかかりますが、それらも不要となります。
業務効率化になる
ペーパーレス化を導入すると、社員が無駄な作業から開放されて効率的に仕事を行えるようになります。 印鑑の捺印作業という課題が解消されれば、紙を印刷したりスキャンしたりする作業がなくなります。業務日報が手書きの会社は、電子化することで現場での作業効率も共有スピードも上がります。 そのほかにもビジネスに関わる多数の人が「この作業、本当に必要?」と感じた経験があるのではないでしょうか。
もちろん紙の方が優れている場面も存在するのは間違いありませんが、業務効率化という面ではペーパーレス化は推奨されるべきソリューションです。
文書の保管・管理が容易になる
ペーパーレスを導入するメリットとして、文書の保管や管理がしやすくなるポイントが挙げられます。 紙がないので物理的な保管スペースが削減でき、サーバーさえ置ければ膨大な書類を倉庫に保管する必要もありません。また、ペーパーレスのメリットに書類を探すのが非常に簡単である点が挙げられます。 デジタル上に保管されている文書は、日付や文書名など様々な情報から検索可能です。 探すのに数十分かかっていた書類も、電子化すれば一瞬で見つけられます。
セキュリティの強化ができる
「ペーパーレスはサイバー攻撃のリスクがあるのでは?」と感じる方もいるでしょう。 たしかにサイバー攻撃のリスクはゼロではありませんが、万全のセキュリティ対策を施すことで文書を紙で保管するよりもリスクを下げられる可能性があります。例えば紙の書類は火災や紛失、盗難や情報漏えいといった様々なリスクを抱えています。 デジタル文書であれば多重バックアップにより書類喪失リスクを極限まで減らせます。
ファイアウォールなどの技術により外部からの不正アクセスへ対策したり、電子署名やタイムスタンプにより情報の改ざんを防いだり、デジタル文書には様々なセキュリティ対策をすることが可能です。
また、閲覧・編集などの権限管理もできるため、ペーパーレス化は企業の内部統制強化にも役立ちます。 このようにペーパーレスを導入することで、今以上のセキュリティ環境を整えられるメリットがあるのです。
地球環境への配慮になる
世界的にペーパーレス化の必要性が叫ばれているのは、紙が地球環境に与えるダメージを軽減するためでもあります。 日本全国はもちろん世界中でペーパーレス化が進めば、どれだけの資源が守れるかは計り知れません。環境問題への関心が高まっている現代だからこそ、ペーパーレスを導入して「環境に優しい企業」とアピールすることも重要です。
デメリットと注意点
コスト削減や業務効率化など様々なメリットのあるペーパーレス化ですが、デメリットが全くないわけではありません。 こちらでは、ペーパーレス導入に当たって覚えておきたいデメリットを紹介します。
設備投資やランニングコストがかかる
ペーパーレス化のデメリットとして、初期の設備投資やランニングコストがかかる点が挙げられます。 どの程度のペーパーレス化をするかによっても変わりますが、おおよそ次のようなコストが必要となります。- パソコンやタブレットなどの設備投資費用
- ITシステムの開発費用
- システムの保守管理(メンテナンスやトラブル対応など)
- 外部サービスの使用コスト
パソコンはすでに多くの企業が導入済みかと思いますが、本格的なペーパーレスを進めるなら持ち運びやすいタブレット端末を導入する方が効果的な場面は多いです。 購入にしろレンタルにしろ、ある程度の設備投資費用が必要となります。
また自社にITノウハウがない場合は外部の業者に委託してITシステムを開発する必要があります。 ただしシステム開発よりも低コストな選択肢として、月額課金などの外部サービスを利用する方法もあります。
いずれにしろペーパーレス化は全くコストをかけずに行えるものではないと覚えておきましょう。 ペーパーレスにより得られるコスト削減や業務効率化の効果と照らし合わせて、どの程度のペーパーレス化を進めるか判断することが大切です。
社員のITスキルが必要
ペーパーレス化を導入するデメリットとして、社員にITスキルがあることが前提となる点が挙げられます。 業種や組織によってはパソコンに不慣れな従業員もいるでしょう。 そういった場合にはペーパーレスを導入することでかえって業務効率が悪くなる恐れもあります。もちろんペーパーレス運用にはそれほど高度なITスキルは必要ないため、基本的なパソコン操作や入力ができれば問題はありません。
紙の方が使いやすい場面もある
ペーパーレス化のデメリットとして、電子文書より紙の書類の方が使いやすい場面もある点が挙げられます。 紙の書類なら複数の文書をデスクに広げて見比べることも簡単ですが、デジタル上の書類はそうもいきません。画面を切り替えずに複数の文書を同時に参照するには、複数の端末または大きなディスプレイが必要となります。 端末の数を増やしたり大画面のディスプレイを用意したりするにはコストがかかるため、場面によって紙とデジタルの書類を使い分ける運用が現実的でしょう。
ペーパーレス化の進め方とソリューション
ここまでの内容で、ペーパーレス化の概要やメリット・デメリットなどに関する部分は理解できたことでしょう。 こちらでは、本格的にペーパーレス化を進める上で覚えておきたい導入方法やソリューションとなるサービスを紹介していきます。
契約書や証憑書類のペーパーレス化
ペーパーレス化を進める上で、紙と印鑑による契約作業を電子化することは非常に重要です。 そのためには契約書や納品書、請求書といった取引先とやり取りする書類を電子化する必要があります。これらの文書をペーパーレス化するのにおすすめのサービスが「電子契約システム」です。 電子契約システムは「電子契約サービス」とも呼ばれ、法的に有効な契約書の作成から取引先へ送付する納品書・請求書・領収書といった証憑書類も電子化できます。
電子契約システムは月1万円前後の月額料金から利用できるクラウドサービスであることがほとんど。 数あるペーパーレス化サービスの中でも導入ハードルが低い特徴があるため、ペーパーレス化を考えるならまず検討したいサービスです。
電子契約システムで有名なサービスとして、業界No.1シェアの「クラウドサイン」と当事者型の電子契約ができる「電子印鑑GMOサイン」が挙げられます。 これら2つのサービスであれば、知名度が高いので取引先の同意も得やすいことでしょう。
自社保管書類のペーパーレス化
取引先へ送信するものではなく、自社で保管する書類をペーパーレス化するのであれば、クラウドストレージの利用がおすすめです。 クラウドストレージとは、各種データをクラウド上に保管できるストレージサービスのこと。クラウドストレージには容量制限付きで無料のサービスも多く、ノーコストで気軽にペーパーレス化を導入しやすい点も特徴です。
例えば、有名な「Google ドライブ」なら、15GBまでは無料で利用可能。「とりあえずペーパーレスの手始めにクラウドストレージから使ってみたい」という企業に最適です。
また、自社保管文書の中でも特に重要な文書にはタイムスタンプの付与をおすすめします。 タイムスタンプとは、それが付与された時刻には確実にデータが存在し、時刻以降に改ざんされていないことを公的に証明する技術です。
例えば、特許を取得するほどではないものの証拠として保護しておきたい文書などは、タイムスタンプを付与しておくのがおすすめです。
クラウドストレージの中には格納時に自動でタイムスタンプを付与してくれるサービスもあり、富士ゼロックスの「ArcSuite Engineering」などが有名です。
帳簿・会計書類のペーパーレス化
帳簿や会計書類などのペーパーレス化は、いきなり導入するには少しハードルが高い分野かもしれません。なぜなら帳簿をはじめとする税務書類の電子化は、「電子帳簿保存法」と呼ばれる法律を遵守する必要があり、この法律を満たすには様々な厳しい要件が定められているからです。
各種会計書類や受け取った領収書などのペーパーレス化を図るなら、「freee」をはじめとするクラウド会計ソフトが検討対象となります。
しかしfreeeなど多くの会計ソフトは電子帳簿保存法に完全対応しているわけではないため、税務書類を全て電子化したい企業はやり方を考える必要があります。
帳簿などの税務書類を全てペーパーレス化したいなら、「TKC財務会計システム」など電子帳簿保存法に完全対応しているサービスを選ぶ必要があります。
会議のペーパーレス化
会議のペーパーレス化を図るなら、タブレットなどのデバイスを用意することと、専用のITシステムを利用することの2つを準備しましょう。すでにプロジェクターや大画面ディスプレイでの会議を採り入れている企業はあるかもしれませんが、会議参加者の手元資料もペーパーレス化するためには個別にタブレットなどの端末を手配する必要があります。
デバイスの手配と同時に「会議システム」と呼ばれる会議専用のITツールの導入を検討します。 会議システムとは、会議資料をデバイスに出力できるだけではなく、様々な業務効率化の機能が搭載されているシステムです。
代表的な会議システムとして、NECの「ConforMeeting/e」などが挙げられます。
まとめ:まずは電子契約システムの導入を
この記事では、ペーパーレスの意味や定義、メリット・デメリットなどを総合的に解説しました。 記事の要点をごく簡単にまとめると、次の通りです。- ペーパーレス化とは、紙の書類を電子化すること
- コスト削減や業務効率化など様々なメリットがある
- 一部覚えておきたいデメリットもあるため注意
また、記事内ではペーパーレス化を進めるために検討したいITサービスについても紹介しました。 税務書類の電子化は「電子帳簿保存法」への対応が大変ですし、会議のペーパーレス化にはタブレット端末の導入など初期費用がかかります。
そこでまずは、気軽に導入できるクラウドストレージや電子契約システムからペーパーレス化の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。 次の記事では、ニーズ別に最適な電子契約サービスを紹介しているので、ぜひそちらもご覧ください。
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