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ペーパーレス化を行いたいけど、印鑑をなくしても問題ない?」
「判子を使わないペーパーレスでは証拠として不十分になる?」

このようなお悩みを抱えてはいませんか。この記事では、ペーパーレス時代の印鑑の扱い方や、ハンコなしで法的効力のある契約を結ぶ方法について解説しています。

記事内では、従来の紙と印鑑に取って代わる存在である電子署名ツールについても紹介。 最後までお読みいただければ、ペーパーレス時代の印鑑との付き合い方について理解できるでしょう。ぜひ参考にしてください。

この記事を書いた人
樽見 章寛
樽見 章寛(たるみ あきひろ) 実印.net 編集部
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている昨今、電子契約の導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか?電子契約サービス29社を徹底比較した筆者が、みなさまの円滑な電子契約導入をサポートいたします。顧問弁護士による記事のリーガルチェックも経験済み。




ペーパーレス化の第一歩は脱印鑑から

社判を押すビジネスマン

日本で古くから根付いている印鑑の慣習は海外にはない独自の文化であり、日本らしい奥ゆかしさと和の情緒を感じさせてくれる素晴らしい存在です。 しかし、印鑑という存在がペーパーレス化の障壁となっている側面もまた事実です。

これまで日本でペーパーレスが普及してこなかったのは、印鑑という独自の文化が強く根付いていたからこそです。 文化としての印鑑は未来まで残していきたいものですが、ペーパーレスを進めるのであれば第一歩として脱印鑑を目指すことは必要不可欠でしょう。

ビジネスシーンにおいて、特に企業の意思決定の場面では複数名の捺印が必要でした。 しかし印鑑による社内承認手続きという作業が形骸化しているケースも多々あり、むしろ印鑑がビジネスの効率を悪くする要因になることがあります。

そんな時は、印鑑による承認ではなく押印レスの電子承認へと変更することで、ペーパーレス化と業務効率化を実現できるでしょう。 印鑑をなくしてペーパーレス化することは、リモートワークや働き方改革にも役立ちます。


印鑑が必要ないことは政府が公式に明言

「印鑑は法的効力のために必要なものでは?」と感じる方がいるかもしれません。 しかし契約とは双方の合意があれば成り立つものであり、印鑑は契約成立のための法的要件ではないのです。

内閣府・法務省・経済産業省が印鑑の必要性に対する公式文書(押印についてのQ&A)を発表し、そこでは「一般的な契約は印鑑がなくても成立する」と明記されています。

押印についてのQ&A/法務省HP


印鑑が法的に必要な場面とは

「ペーパーレス化の第一歩は脱印鑑から」とお伝えしましたが、法人において完全に印鑑が必要ないわけではない点は注意が必要です。

民間企業や民間人同士の契約は基本的に印鑑がなくても成立しますが、政府など公的機関と契約を結ぶ場合は、法的に印鑑が求められるケースもあります。

例えば「会計法」では、対象となる契約については「印鑑の捺印がなければ成立しない」とされています。 ペーパーレスの時代でも印鑑を完全になくすのではなく、業務効率化のために必要な範囲で廃止していくことが重要です。



電子上で証拠力のある文書を作成する方法(印鑑なし)

法律イメージ

ペーパーレス時代に印鑑なしで証拠力のある文書を作成するためには、「電子署名」「タイムスタンプ」を利用する方法があります。

電子署名とは電子上での印鑑(実印)のようなもので、政府公認の認証局で厳重な本人確認の上、電子証明書を発行して使用できるようになります。 電子署名が付与されたデータの正当性は、「電子署名法」と呼ばれる法律で認められています。

タイムスタンプとはそれが付与された時刻には確実にデータが存在し、それ以降改ざんされていないことを証明する技術です。

電子署名とタイムスタンプを組み合わせることでより強い法的効力を確保できるほか、電子署名の有効期限を延長する「長期署名」にも対応できます。 電子署名とタイムスタンプを用いたペーパーレスソリューションとして、「電子署名ツール」が挙げられます。

電子契約システムや電子契約サービスとも呼ばれ、電子署名とタイムスタンプが利用できるほか、契約書の作成から保管・管理までをクラウド上で一括作業できるものとなっています。

電子署名ツールを利用すれば法的効力のある文書を電子上で作成でき、印鑑なしでもきちんと証拠力を担保できます。



ペーパーレス化に最適な電子署名ツール

提案するビジネスマン

ペーパーレス時代には、電子上での印鑑のような存在である電子署名とタイムスタンプを組み合わせることが重要だとお伝えしました。 中小企業や個人事業主が印鑑廃止とペーパーレス化を図る際にぜひ検討したい電子署名ツールは、以下の3つです。

  • クラウドサイン
  • 電子印鑑GMOサイン
  • WAN-Sign

ここからは、上記3つの電子署名ツールの特徴を詳しく解説していきます。 なお「もっとたくさんの選択肢から自社に最適な電子署名ツールを選びたい」とお考えの方には、こちらの記事もおすすめです。 企業規模別にどの電子署名ツールが最適なのか紹介しています。


クラウドサイン

クラウドサインは、業界No.1のシェアを誇る電子署名ツールです。 法律系のWEBサービスで知名度が高い「弁護士ドットコム」が運営する電子署名ツールであり、印鑑なしでも法的に有効な電子契約の締結からデジタル契約書の管理までをまとめて行えます。

ペーパーレスに役立つクラウドサインは、政府の「グレーゾーン解消制度」を利用し、国土交通省や経済産業省から公的に適法性が認められています。 印鑑なしで電子契約をするなら、ペーパーレスにも役立つクラウドサインをぜひご検討ください。

» クラウドサインの詳細はこちら


電子印鑑GMOサイン

電子印鑑GMOサインは、より強い法的効力を求める企業に最適な電子署名ツールです。 契約当事者の電子証明書を発行して電子契約を行うタイプなので、先述のクラウドサインよりも法的効力が強いメリットがあります。

また電子印鑑GMOサインには、承認や閲覧などの権限管理のほか、契約業務のワークフロー機能なども付いています。 これまでは紙と印鑑で承認作業を行っていた業務がペーパーレス化されると、新たにデジタル上でのワークフローを組み直す必要があります。

そんな時も電子印鑑GMOサインなら、自社のワークフローを設定できるので、契約前に権限者の承認を行うことが可能。 紙と印鑑での契約業務から、スムーズにペーパーレスへ移行できます。

» 電子印鑑GMOサインの詳細はこちら


WAN-Sign

WAN-Signは、企業のペーパーレス化に役立てやすい電子署名ツールです。 電子印鑑GMOサインを基盤として作られているので、基本的には電子印鑑GMOサインと同様の機能を利用できます。

さらにWAN-Signでは、別途オプションで紙と印鑑で作成した既存の契約書をペーパーレス化する代行業務も行っています。 スキャンから書類保管までペーパーレス化に必要な作業を代行してくれるのが便利なポイントです。

» WAN-Signの詳細はこちら



電子契約についてよくある質問

Q&A

印鑑をなくしてペーパーレス化を行うには、ここまで紹介してきた電子署名ツールを利用して、電子契約を結べる環境を整えることが重要です。 しかし、印鑑の代わりに電子契約を導入する上で疑問に思うポイントも多数ありますよね。

こちらでは、印鑑なしのペーパーレスソリューションである電子契約に関して、よくある質問とその回答を紹介します。


セキュリティは問題ない?

企業の契約は重大な機密事項なので、電子契約のセキュリティは気になりますよね。 結論から申し上げれば、それぞれの電子契約システムでは堅牢なセキュリティ対策が行われているため、安心して利用できます。

実際に大企業の導入事例もあり、一流企業からの信頼を得ているサービスも多いです。


ペーパーレス化できない書類はある?

便利なペーパーレスソリューションが多数登場している現代ですが、いまだに法規制がありペーパーレス化できない書類も存在しています。 ペーパーレス化できない書類は特に不動産業界に多く、例えば以下の書類は現時点では電子化が難しい状態です。

  • 重要事項説明書
  • 定期借地契約書
  • 定期建物賃貸借契約書

ただしこういった一部の書類を除き、ビジネスにおけるほとんどの文書はペーパーレス化することが可能です。

また、現在では法規制が残る書類も徐々に規制緩和されペーパーレス化が認められる動きがありますから、将来的には完全にペーパーレス化できる時代が来るかもしれません。


取引先が同意してくれない時はどうする?

電子契約においてハードルとなりやすいのが取引先の同意です。 ペーパーレス化には様々なメリットがありますが、取引先と交わす契約書に関しては相手の同意がなければ電子化することはできません。

相手方に「印鑑の捺印がない契約はできない」といったルールがある場合は、お互いに電子契約を結ぶことは難しいでしょう。

相手方がどうしても印鑑を求める場合の対策としては、自社で保管する契約書は電子上で作成し、相手方で保管する契約書は紙で作成する方法などがあります。

また、電子署名サービスのなかには取引先への説明代行サービスを行っているところもあるので、必要に応じて利用するといいでしょう。


無料でペーパーレス化する方法はある?

「できればコストをかけずにペーパーレス化したい」と考えた場合、無料で使えるサービスからペーパーレス化していく選択肢もあります。

例えばクラウドストレージには容量制限付きで無料のものもあるほか、電子署名ツールのなかにも「1アカウントなら無料」といったプランを出しているところはあります。

そういった機能制限付きの無料プランを活用すれば、無料でペーパーレス化をすることは不可能ではありません。

ただしある程度の規模の企業が運用するには無料プランでは足りないケースがほとんどなので、その場合は有料サービスを利用してペーパーレス化を行いましょう。



税務書類の電子化は次のステップ

経理業務を行う男性

完全なペーパーレス化を果たすためには、経理業務における税務書類の電子化も避けては通れない問題です。 しかし税務書類のペーパーレス化はかなり要件が厳しいため、いきなり導入するにはハードルが高いかもしれません。

帳簿などの税務書類をペーパーレス化するには、「電子帳簿保存法」と呼ばれる法律に準拠する必要があります。 最近の法改正で要件がやや緩くなりましたが、それでもまだ帳簿などのペーパーレス化には様々な要件があります。

税務書類のペーパーレス化を果たすためには電子署名ツールだけでは不十分なので、電子帳簿保存法に対応している会計ソフトや経費精算システムが必要です。

最近人気のクラウド会計ソフトでも電子帳簿保存法に完全対応のものは少ないため、電子署名ツールと比べると導入が難しい側面もあります。

税務書類のペーパーレス化については今後の法改正の動向もチェックしつつ、時期が来るまでもう少し待ってみてもいいかもしれません。 まずは簡単な電子署名ツールから、ペーパーレス化を図りましょう。



まとめ:印鑑が必要な場面もあるが、ペーパーレス化は必須

この記事では、ペーパーレス時代の印鑑の扱い方に関する情報を解説しました。記事の要点をごく簡単にまとめると、以下の通りです。

  • 民間契約に印鑑はなくてもいいが、政府との契約には必要な場面もある
  • 法的効力のある電子契約には電子署名とタイムスタンプが有効
  • 電子署名やタイムスタンプを簡単に使うには電子署名ツールが最適

このようにペーパーレス時代でも印鑑が全く必要ないわけではありません。 ただし日々の業務に“無駄”を感じているのであれば、ペーパーレス化は必須。 税務書類のペーパーレス化は少しハードルが高いので、まずは電子署名ツールの導入から検討してはいかがでしょうか。

なお、ペーパーレスに関する総合的な内容は以下の記事でも詳しく解説しています。 ペーパーレスに興味がおありの方は、ぜひそちらもご覧ください。

» ペーパーレス化とは?メリットやデメリット、注意点も解説