「電子契約サービスを検討しているけど、Adobe Signってどうなの?」
「Adobe Signには他社サービスと比較してどんな特徴があるの?」
この記事では、Adobe Sign(アドビサイン)の特徴やメリット・デメリットを詳しく解説しているほか、使い方や料金プランなど、総合的な情報をまとめています。
アドビサインで使える機能や他社サービスと比べてどうなのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人
DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている昨今、電子契約の導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか?電子契約サービス29社を徹底比較した筆者が、みなさまの円滑な電子契約導入をサポートいたします。顧問弁護士による記事のリーガルチェックも経験済み。
【目次】
Adobe Sign(アドビサイン)とは
Adobe Sign(アドビサイン)とは、「Acrobat Reader」や「Photoshop」などのソフトウェアで有名なAdobe社が提供する電子契約サービスです。
Adobe Signでできること
Adobe Signを使ってできることの一例を紹介します。- 電子署名を用いた電子契約
- タイムスタンプ
- 電子印鑑
- 電子上での手書きサイン
- 電子契約の進捗確認
- タブレットやスマートフォンなどマルチデバイスで利用可
- 契約書のテンプレート登録機能
- ワークフロー構築
- WEBサイトへ電子サイン欄を埋め込む
- フォームにブランドロゴを表示
- API連携
アドビサインで特に注目すべきなのは、WEBサイトへ電子サイン欄を埋め込むことができる機能です。 アドビサインのこの機能を使えば、「自社のホームページの申し込みページから電子サイン付きの申し込みをしてもらう」なども可能になります。
Adobe Signのセキュリティ
Adobe Signは日本国内だけではなく世界中でグローバルに展開するサービスであることから、世界中の様々なセキュリティ基準に対応しています。 Adobe Signが対応しているセキュリティ標準の例としては、次のものが挙げられます。- ISO 27001
- HIPAA
- GLBA
- PCI DSS
- SOC 2 Type 2
- FedRAMP
こういった部分からも、Adobe Signのセキュリティの高さが伺えます。 何よりアドビサインを運用するAdobe社は知名度の高い企業であり、「無名な企業のサービスは不安が残る」と感じる方でも導入しやすいでしょう。
Adobe Signの導入事例
電子契約サービスを比較する際に気になるのが、実際の導入実績です。 アドビサインには様々な大企業での導入実績もあり、その例を紹介すると次の通りです。- ソニー銀行
- HITACHI
- RICOH
- at home
- Diners Club
- PERSOL
- GROUPON
アドビサインの使い方
Adobe Signを使った電子契約の流れをイメージしやすいよう、システムの使い方を簡単に紹介します。
契約書を送信する側のAdobe Signの使い方
まずは、Adobe Signで契約書を送信する側の使い方を紹介します。その流れは、以下の通りです。- Adobe Signへログインし、ダッシュボードの「送信」をクリック
- 契約相手のメールアドレスを入力する
- 「ファイルを追加」から契約書をアップロードする
- 署名に必要な項目をドラッグ&ドロップで追加する
- 「送信」ボタンをクリックし、送信完了
従来の紙の電子契約では、作成した文書を印刷・捺印の上で郵送にて契約相手へ送る必要がありました。 しかしAdobe Signを導入すれば、たった上記のステップだけで契約書の送付が可能になるのです。
契約書を受信する側のAdobe Signの使い方
続いて、契約書を受信する側のAdobe Signの操作方法を紹介します。その流れは、次の通りです。- 受け取ったメールのURLをクリック
- 契約書を確認し、署名欄へ手書きまたは入力で署名する
- 「クリックして署名」を押して、契約完了
このようにアドビサインでは、受信者側はたった3つのステップだけで簡単に契約が行えます。
署名の際はクリック入力だけではなく、手書きでサインすることも可能。 どちらの場合も本人がサインしたことはAdobe Signが証明してくれるので、問題ありません。
アドビサインで締結した契約書はダウンロードができ、自分のパソコンに保管しておくことが可能です。
Adobe Signの料金
Adobe Signには、大きく分けると3種類の料金プランが存在しています。 アドビサインのそれぞれの料金プランの価格と機能の一例を表にまとめましたので、ご覧ください。
※表記価格は税込
料金プラン | Acrobat Pro DC (個人向け) |
Adobe Sign小規模企業版 (2〜9ユーザー) |
Adobe Signビジネス/エンタープライズ版 (10ユーザー以上) |
---|---|---|---|
月額料金 | 1,738円 | 4,270円/1ライセンス | ※要問い合わせ |
電子契約 | ○ | ○ | ○ |
多言語 | ○ | ○ | ○ |
サポート | チャット | 電話・チャット | 電話・チャット |
WEBフォーム | × | ○ | ○ |
自社ロゴ表示 | × | ○ | ○ |
ワークフロー | × | × | ○ |
API連携 | × | × | ○ |
「Adobe Signだけ」の個人版はない
料金表を見ると、個人向けプランには「Acrobat Pro DC」と記載があります。 実は「Adobe Signだけ」の個人版プランは存在せず、1人のユーザーでAdobe Signを利用する場合、Acrobat Pro DCを契約することになります。Acrobat Pro DCにはアドビサインの基本機能が搭載されているだけでなく、PDFエディターとしての役割も果たします。 これをメリットと見るかデメリット(不必要な機能)と見るかは利用する人次第でしょう。
ちなみにAdobe Sign小規模企業版は2〜9ユーザーにおすすめのプランとなっていますが、1アカウントからでも販売されています。
月額4,270円(税込)と高額にはなりますが、電子契約サービスとしての機能は増えるため、こちらのアドビサインを検討するのも選択肢の1つです。
法人向けAcrobat Pro DCにも電子サイン機能が付いている
実は法人向けのAcrobat Pro DCを契約している会社であれば、新しくビジネス版Adobe Signを契約しなくても、電子サインの機能が利用可能です。ただしAcrobat Pro DCに搭載されている電子サイン機能は、Adobe Sign小規模企業版のプランよりも利用できる機能が少ないです。 WEBフォームへ電子サイン欄を埋め込んだり、自社のロゴを表示させたりすることはできないため、注意が必要です。
無料のAcrobat Reader DCでも月2回まで署名できる
PDFファイルを閲覧するために無料のAcrobat Reader DCをインストールしている方も多いのではないでしょうか。 実は、無料のAcrobat Reader DCを利用している場合、月に2回までAdobe Signでの電子サインを利用可能です。それ以上の回数の電子契約を結ぶには利用できませんが、単発で必要な時だけ電子契約を結びたいのであれば、Adobe Signを有料契約せずともOKなのです。
Adobe Signの特徴とメリット
Adobe Signには、他社の電子契約サービスとは異なる特徴やメリットがあります。 こちらでは、Adobe Signの特徴やメリットをチェックしてみましょう。
Adobeと有料契約している企業が導入しやすい
Adobe Signの特徴として、機能や料金のカスタマイズが柔軟であることが挙げられます。 アドビサインでは企業ごとに使用する機能や料金、ライセンス数などをカスタマイズしてくれるため、必要な機能やライセンス数だけを契約し、コストを最小限に抑えることも可能。すでにAdobe製品を有料契約している企業であれば、新しくAdobe Signを導入する際に相談・交渉もしやすいことでしょう。
多言語対応なのでグローバルな企業にも最適
Adobe Signの特徴として、多言語対応である点が挙げられます。 アドビサインでは送信者・受信者ともに34の言語から選択できるため、グローバルに展開している企業が電子契約を導入する際にも利用しやすいでしょう。また、セキュリティに関する項目でも解説しましたが、Adobe SignはHIPAAやGLBAといったアメリカの規格や規制にも対応しています。 こういったポイントも踏まえると、Adobe Signは世界規模のビジネスを営む企業に大きなメリットがあるのです。
契約書1通ごとの従量料金が無料
Adobe Signのメリットとして、契約書を1通送付するごとの従量料金が無料である点が挙げられます。 他社の電子契約サービスでは、月額基本料金に加えて契約書1通ごとに100〜300円の従量料金が発生するケースが多いです。その点、Adobe Signなら従量料金がかからないのは大きなメリットでしょう。
電子契約の一般的なメリット
Adobe Signに限らず、電子契約サービスを導入することには、一般的に次のようなメリットがあります。- 印刷コストの削減
- 印紙税の削減
- 業務効率化
Adobe Signなどの電子契約では、紙の契約書のように印紙税がかかりません。 毎月たくさんの契約を結んでいる企業なら、アドビサインを導入することで、印刷コストや印紙税の削減による大きな効果を期待できるでしょう。
なお、電子契約に関する基礎知識や電子契約サービスの一般的なメリットについては、次の記事でも詳しく解説しています。ぜひあわせてお読みください。
» メリットやデメリットなど網羅的に解説
アドビサインのデメリット
Adobe Signには、電子契約サービスとしてのデメリットもいくつか存在しています。 導入前に覚えておきたい注意点として、Adobe Signのデメリットを確認してみましょう。
Adobe Signでは電子証明書を発行できない
電子署名法によると、法的有効性の高い電子署名を行うためには、認証局での厳正な本人確認を行って電子証明書を発行する必要があります。 しかしAdobe Signのデメリットとして、電子証明書を発行できない点が挙げられます。自社で発行した電子証明書を読み込んで使用することはできますが、Adobe Signを通して発行するのは不可。
Adobe Signと違い、他社の電子契約サービス(電子印鑑GMOサイン)などでは電子証明書もまとめて発行できるものもあるため、自社でわざわざ発行する手間が省けます。
署名数が無制限ではない
Adobe Signのデメリットとして、無制限に電子サインが行えるわけではない点があります。 個人向け・中小企業向けのアドビサインのプランで行える電子サインは、1ライセンスあたり年間150件まで。それ以上の契約を結ぶようであれば、追加料金を支払ってアドビサインのプランをカスタマイズする必要があります。
なおAdobe Signを2ライセンス以上を契約しているなら、年間に行える電子サインの数は150件×ライセンス数となります。
一方、クラウドサインや電子印鑑GMOサインなどの場合は年間の契約数に制限はありません。 1ユーザーで利用した場合でも無制限に電子サインが行えるので、毎月の契約数が多い企業なら、アドビサインよりそちらを検討するのもいいでしょう。
APIやワークフローなどの機能は上位プラン限定
Adobe SignでAPIやワークフロー、高度な認証・承認管理などの機能を利用するには、アドビサインのビジネス/エンタープライズ版(上位プラン)の契約が必要です。アドビサインのビジネス/エンタープライズ版の値段は公式サイトでは公開されていませんが、大企業向けのプランなのである程度の価格は覚悟しておく必要があるでしょう。
つまりAdobe SignでAPIやワークフローなどの機能を利用するには、それなりのコストがかかるということ。これはAdobe Signのデメリットの1つです。
一方、クラウドサインなら月額11,000円(税込)の最安プランでもAPIを利用できます。 電子契約サービスのAPI連携を行いたい企業には、Adobe Signよりもクラウドサインの方がおすすめです。
下位プランでもコストがかかる
Adobe Signのデメリットとして、ライセンスあたりの契約であるため、複数ユーザーで運営するには下位プランでもコストがかかる点があります。Adobe Signでは、小規模企業版でも1ライセンスあたり4,270円(税込)/月の価格。仮に10人で利用した場合、約4万円/月のコストとなります。
一方他社の場合、例えば電子印鑑GMOサインなら、契約ごとに数百円のコストはかかるものの、月額9,680円+電子証明書8,800円(共に税込)で利用可能。 ユーザー数が無制限なので、大人数で利用する企業ほどAdobe Signよりもコストが小さくなります。
「多言語」や「Acrobat DCなどAdobe製品との連携」など、Adobe Signならではの特徴が必要ないのであれば、コスト的には他社の電子契約サービスを検討する方がおすすめなのです。
まとめ:アドビサインは多言語で電子契約を結びたい企業におすすめ
この記事では、Adobe Signの特徴やメリット・デメリットを詳しく解説しました。 Adobe Signの特徴や記事の要点をごく簡単にまとめると、次の通りです。- アドビサインは多言語やアメリカの規格に対応しており、グローバルな企業に最適
- Acrobat Pro DCを契約していれば、Adobe Signの機能も利用可能
- APIなどの高度な機能は、アドビサインより他社サービスの方がリーズナブル
Adobe Signはグローバルにサービスを展開する企業に特におすすめの電子契約サービスとなります。他にも、多言語対応していて有名な電子契約サービスに「ドキュサイン(DocuSign)」があります。
ドキュサインのサービス詳細は下記ページでまとめていますので、併せて参考にしてみてください。
» ドキュサインの価格やメリット・デメリット解説