電子署名って何のこと?仕組みや活用事例、導入方法など総合的に解説

電子署名って何のこと?仕組みや活用事例、導入方法など総合的に解説
  • 最終更新日:2024年7月25日
電子署名とは?調べてもよくわからない…」とお困りではありませんか? こちらの記事では、初心者でも理解しやすいように電子署名の基礎知識をわかりやすくまとめています。

最後までご覧いただければ、メリットや技術的な仕組み、そして実際の活用事例や会社で導入する方法などを学ぶことができます。「こちらのページをご覧いただければ十分」というほどに網羅的に解説しています。ぜひ最後までご覧ください!

執筆者
樽見 章寛

樽見 章寛

DX(デジタルトランスフォーメーション)が推進されている昨今、電子契約の導入を検討されている企業も多いのではないでしょうか?電子契約サービス29社を徹底比較した筆者が、みなさまの円滑な電子契約導入をサポートいたします。顧問弁護士による記事のリーガルチェックも経験済み。



電子署名とは

電子署名とは

電子署名とは、電子書類が正当に認められたものであることを証明するためのものです。書類が当事者によって作成・確認されたものを示すと同時に、改ざんなどの不正が行われていないことを証明するのに役立ちます。

電子署名は、よく「電子上での身分証明書」と例えられます。

電子書類に身分証明書を添付することで、その書類の正当性を示すものだと考えましょう。

電子署名に関する法律

電子署名は、法律で認められています。電子署名に関する代表的な法律として知られているのが、「 電子署名法(電子署名及び認証業務に関する法律)」です。

現在の電子署名法が施行されたのは、2001年4月の1日。 今から約20年も前になりますから、電子署名の歴史は意外と過去にさかのぼるんですね。

電子署名法では、電子署名にも手書きのサインや印鑑の捺印と同等の法的効力があることが認められています。

また、一定の基準を満たした認証については国の認定を受けられる仕組みとなっており、より強い効力が認められるのです。

もし電子署名がなかったらどうなる?

今や私たちの生活に欠かせないインターネット。 私生活はもちろん、ビジネスなどの経済活動でもインターネットは必要不可欠ですよね。

パソコンやスマホで取引先とメールでやりとりするのは当たり前ですし、請求書や納品書などの文書についてもメールで送付する機会は多いでしょう。

もしも電子署名が存在しなければ、あらゆる電子文書が改ざんされていない正当なものであることを証明するのは難しいでしょう。

なぜなら、画像やPDFファイルであっても、現代の技術では容易に改ざんができてしまうからです。

電子署名と電子サインの違い

電子署名と似ている言葉に 「電子サイン」があります。

両者は似た言葉として混同されがちですが、少し意味が違っているので注意が必要です。

電子サインとは、電子上で行われる証明活動を全般的に指す言葉であり、電子サインの1種として電子署名が存在しているのです。

電子サインの代表例としてイメージしやすいのは、タブレット端末などへ行う手書きのサインです。

手書きではあるものの電子上で記録されるため、代表的な電子サインとして知られています。

ただし電子サインは“手書きの署名”だけに限らず、音声や記号、プロセスなど、記録手段は問いません。

仮に意思表示のために本人の音声を録音(音声の偽造に関する問題は置いておいて)し、電子上に残した記録した場合、広義ではそれも電子サインの1種なのです。

技術的な仕組みをわかりやすく解説

電子署名の仕組み

続いて、電子署名の仕組みを簡単に解説します。

認証局で電子証明書を発行して使えるようになる

電子署名は、電子認証局で電子証明書を発行してもらうことで、初めて利用できるようになります。 電子署名に関連して覚えておきたい、電子認証局と電子証明書の意味を簡単に解説すると、次のとおりです。

  • 電子認証局:電子証明書の発行や失効を担う第三者機関のこと
  • 電子証明書:電子上で間違いなく本人であると証明するためのもの

…と言われてもちょっとわかりにくいと思いますので、電子署名をわかりやすく印鑑(実印)に例えてみましょう。

  • 電子署名 ⇒ 実印
  • 電子認証局 ⇒ 役所
  • 電子証明書 ⇒ 印鑑証明書

上記のように考えると、イメージしやすいかと思います。役所(電子認証局)で印鑑登録の手続き(電子証明書の発行手続き)をすれば、実印(電子署名)に法的効力が生まれるのです。

電子署名を支える技術

電子署名の仕組みには、現代の複雑な 暗号技術が活用されています。 電子署名の仕組みを理解するには、次の3つのキーワードを知る必要があります。

  • 公開鍵暗号
  • 公開鍵暗号基盤(PKI)
  • ハッシュ関数

公開鍵暗号とは、ある文書(平文)を暗号化するための「秘密鍵」と、暗号化された文書を復号するための「公開鍵」という、2種類の鍵をペアとして扱う暗号技術のことです。

そして、「秘密鍵を扱えるのは本人だけである」と証明するものが電子証明書であり、それを発行する制度や社会的基盤のことを、公開鍵暗号基盤(PKI)と呼びます。

そしてハッシュ関数とは、電子書類を 「ハッシュ値」として返してくれる関数のことで、書類の改ざんを防ぐために役立つ技術です。

電子署名に含まれるハッシュ値と、送信された電子書類から作成したハッシュ値を比較検証し、両者が同一であれば不正な編集をされていないことを証明できる仕組みとなっています。

タイムスタンプと呼ばれる機能もある

電子署名には、タイムスタンプと呼ばれる機能も存在しています。タイムスタンプは、電子署名を付与した日と時刻を証明するためのものです。タイムスタンプが重要な理由は、次の2点です。

  • その日時には確実に文書が存在していることを証明できるから
  • その日時以降に文書が改ざんされていないことを証明できるから

また、タイムスタンプ機能は電子署名だけではなく、電子印鑑にも活用されている技術です。

実際に電子署名が活用されている場所

メールの配信

こちらでは実際に電子署名が活用されているシーンや、企業にとっての活用事例を紹介します。

メガバンクの配信メール

電子署名が活用されている代表的な実例として、メガバンクからの配信メールが挙げられます。 例えば三菱UFJ銀行や三井住友銀行は、金融犯罪を防ぐために、利用者へ配信するメールには電子署名を付与しています。

銀行からの正式なメールに電子署名が付与されていれば、銀行の名を語ったなりすましの詐欺メールの被害を減らしやすくなります。

特別定額給付金のオンライン申請

電子署名は、2020年に実施された 「特別定額給付金」のオンライン申請にも活用されています。

「オンライン申請の難易度が高すぎる」という問題はひとまずさておき、特別定額給付金はマイナンバーカードを利用したオンライン申請に対応しています。

特別定額給付金のオンライン申請時には、申請者の電子署名の付与が必要です。

このように、政府が進める制度にも、電子署名は活用されているのです。

仮想通貨の取引

電子署名の技術は、仮想通貨の取引にも用いられています。 仮想通貨は1種のお金であるため、送金時のセキュリティが担保されていることが重要です。 ビットコインをはじめとして、仮想通貨の送金時などに電子署名が活用されています。

その他の活用事例

これまでに紹介したとおり、電子署名は取引の安全性確保や、電子メールの信頼性を確保するために活用されていました。

しかし、電子署名を活用できるのは対外的な場面だけではありません。

例えば医療機関が専門的な医療知識を重要文書として保存する場合、電子署名でその書類の正確性を証明できるようになります。

また、著作物に電子署名を付与しておけば、万が一トラブルに巻き込まれた時にも自身の正当性を主張できます。

このように、電子署名は対外的なやりとり以外にも、重要文書の保存にも役立つものなのです。

企業が導入するメリット

企業での会議

電子署名を導入することには様々なメリットがあり、最近では導入する企業も増えてきています。 こちらでは、企業が電子署名を導入するメリットを紹介します。

重要な電子契約を結べる

企業が電子署名を導入するメリットとして、重要な電子契約を結べる点が挙げられます。 電子署名がなければ、電子契約を結んでもその書類の正確性を証明できません。

しかし電子署名を導入すれば、契約書の正当性は第三者機関である認証局に認められたものとなるため、重要な契約でも電子上で行えるようになるのです。

収入印紙や印刷などのコストを削減できる

電子署名を導入することで得られるメリットとして、コスト削減が挙げられます。 わざわざ契約書をプリントアウトして手書き・捺印をしなくても契約ができるので、印刷や郵送のコストを削減できます。

また、電子契約には 印紙税が不課税であり、収入印紙のコストも削減できます。

業務効率がアップし、テレワークにも対応しやすい

郵送で契約書類を送付していた企業は、電子署名を導入することで業務効率アップにつながります。 なぜなら、電子署名があればパソコン上で全ての手続きが完結し、様々な作業工程を減らせるからです。

また、近年注目を浴びている テレワークにも対応しやすいです。 テレワークの導入障壁として「会社での押印作業が必要」という問題が挙げられますが、これも電子署名を導入すれば解決できます。

新しく電子署名を導入する方法

新しく電子署名を導入する方法

企業が電子署名を導入するやり方として、次のような方法があります。 ニーズごとに解説しているので、ぜひ参考にしてください。

メールやPDFなど各書類に電子署名を付与したい

ビジネスシーンでは、特に次のような書類を扱うことも多いですよね。

  • メール
  • PDF
  • Excel(エクセル)
  • Word(ワード)

こういった電子文書へ電子署名を付与するには、まずは電子認証局で電子証明書を購入する必要があります。

電子証明書にも様々な種類があり、電子署名の用途によってどれを購入するべきかが変わってくるので注意しましょう。

特に知名度が高くて安心の電子認証局は、 GMOインターネットグループの「グローバルサイン」です。

グローバルサインは電子メールやマイクロソフトOffice文書など、様々な電子署名に対応しています。

「どれを選べばいいかわからない」と迷ってしまう方は、まずは問い合わせてみるといいでしょう。

電子契約をしたい

「メールや文書へ電子署名を設定するよりも、電子契約をできるようにしたい」とお考えの会社は、電子署名の中でも特に電子契約に特化したサービスを利用するといいでしょう。 例えば、次のようなサービスがあります。

  • 電子印鑑GMOサイン
  • WAN-Sign

電子印鑑GMOサインはGMOインターネットグループが提供する電子契約サービスなので、知名度もあって安心して導入できます。

そしてWAN-Signは、 日本通運が100%出資する子会社「株式会社ワンビシアーカイブズ」が提供する電子契約サービス。

高セキュリティの情報管理センターで重要文書を保管したり、機密情報を抹消したりするサービスも提供する企業で、抜群の信頼性を誇ります。

上記で紹介したGMOサインやWAN-Signだけでなく、クラウドサインやAdobe Signなど、電子契約サービスはいくつもあります。電子契約サービスの導入を検討されている方も多いのではないでしょうか?

そこで、電子契約サービスベンダー15社を比較し、電子契約サービスランキングを作成しました。 大企業におすすめのものや無料プランでおすすめの電子契約サービスなど、 ニーズ別に紹介しています。こちらのページも、あわせて参考にしてみてください。

まとめ:企業のセキュリティに必要不可欠な存在

この記事では、電子署名に関する総合的な情報をまとめました。記事のポイントをごく簡単にまとめると、次のとおりです。

  • 電子署名とは、電子上での身分証明書のようなもの
  • 認証局で電子証明書を発行すれば使えるようになる
  • コスト削減や業務効率アップなどのメリットがある

電子署名は、電子メールなどからの情報漏えいを防ぎ、書類の正当性を証明するために必要不可欠な存在です。 また電子署名は重要文書の保管にも役立つものなので、まだ導入していない会社は、導入を検討してはいかがでしょうか
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