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会社設立の流れを徹底解説

「会社って、どんな流れで設立するの?誰でも会社を設立できるの?」

ズバリ、会社は思い立てばどなたでも設立できます。しかし、会社設立の流れを理解しないまま、会社を設立しようとしてもうまくいきません。

そこで今回は、

  • 今まさに会社設立を考えているので流れを知りたい
  • いずれ会社を設立するときのために準備をしておきたい
  • 自分で起業するために必要なことや手続きの流れを知りたい

といった声にお応えし、会社設立の流れをどこよりも分かりやすくご紹介。このページを見ていただくだけで、どなたでも会社設立の流れをしっかりと理解していただけるはずです。

それではさっそく、会社を設立するメリットから解説。会社を設立しようか迷っている方必見の内容でお届けします!

この記事を書いた人
樽見 章寛
樽見 章寛(たるみ あきひろ) 実印.net 編集部
「社判・社印・角印・丸印…」一口に会社印鑑(法人印鑑)と言っても、様々な種類があり難しいですよね。そんな会社印鑑について、印鑑通販サイトを30以上比較し、年間2.5万本の印鑑作成に貢献している筆者がわかりやすく解説。みなさまの満足のいく法人印鑑作成をサポートいたします。




【会社設立をはじめる前に】会社設立のメリットとは?

会社設立のメリットとは?

流れさえ理解すれば、どなたでも会社が設立できます。とは言うものの、起業を検討している方の中には、そもそも会社を設立するメリットはあるのだろうかと迷っている方もいらっしゃるかと思います。

この見出しを見ていただければ、個人事業主のまま営業を続けるよりも、会社を設立して法人化したほうがいいのか分からないときに、きっと役立てていただけるはずです。

では、さっそく会社設立のメリットを見てみましょう。


信頼を得やすくなる

信頼を得やすくなる

取引先からの信頼を得るには、信用・技術・実績が重要です。しかし、同じような実績を持つ個人と法人を比べると、やはりまだ法人のほうが信頼される現状があります。

法務局では商業・法人登記について、下記のように案内されています。

商業・法人登記の制度とは、会社等に関する取引上重要な一定の事項(商号・名称、所在地、代表者の氏名等)を、法務局の職員(登記官)が専門的な見地から審査したうえでコンピューターに記録し、その記録を一般の方に公開することによって、会社などの信用維持を図るとともに、取引の相手方が安心して取引できるようにすることを目的とするものです。
(引用URL:http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/static/goannai_index_syougyou.html)


法人登記とは、かんたんに言いますと法務局が会社の身元を証明することです。ご自身が新しい取引先を探すときにも、身元がはっきりしている法人相手の方が信頼しやすいのではないでしょうか。

会社を設立すれば、個人事業主として営業するよりも多くの取引先からの信頼を得て、より実績を伸ばすことができるはずです。

資金調達しやすい

資金調達しやすい

会社を設立すると、より多くの方法で資金調達が可能となります。

  • 融資
  • 株式発行
  • 社債
  • 出資者からの出資

特に、金融機関から融資を受ける場合は、個人よりも会社を設立した後のほうが圧倒的に融資を受けやすいメリットがあります。

個人事業はプライベートとビジネスで、資金の流れが曖昧になってしまうことがあるのに対して、法人は厳格に財産が管理されていることが融資を受けやすい理由です。

今後、事業拡大を検討しているならば、より多くの方法での資金調達が可能となる会社設立はとてもおすすめです。

経営リスクが軽減される

経営リスクが軽減される

株式会社や合同会社の場合は、万が一経営が破綻してしまったとしても、経営責任を問われる流れの中で個人資産を失うことはありません。これを有限責任と言い、株式会社と合同会社の大きなメリットとなっています。

一方、個人事業主の場合は経営が破綻してしまうと、無限責任となり個人資産を失う可能性があります。株式会社や合同会社を設立すれば、個人資産を守りながら、事業を営むことができるようになります。

決算日が自由に設定できる

決算日が自由に設定できる

個人事業の事業年度は1月~12月と決められていますが、会社を設立すれば決算日を自由に決められます。

  • 決算日と繁忙期をずらすと、税理士や会計事務所への外注コストが減らせる
  • 決算日と繁忙期を合わせると、売上げ見込みが立てやすい
  • 決算日を調整すると、資金繰りにゆとりのある時期に納税できるようになる

決算日のタイミングを調整することで、上記のようなメリットが得られます。会社設立後は、ぜひ会社に合わせた決算日を決めてみてはいかがでしょうか。

人材が確保しやすい

人材が確保しやすい

設立したばかりの会社でも、法人というネームバリューがあれば求人が集まりやすくなります。雇用が不安定な流れにある中では、やはり会社で正社員として働きたいと思っている人のほうが圧倒的に多いことが理由です。

より、優秀な人材を確保したいならば会社設立はとてもおすすめです。

事業継承しやすい

事業継承しやすい

個人事業と違い、会社を設立すると代表者個人の資産と会社の資産は完全に切り離されます。そのため、会社代表者に万が一のことがあっても、法人口座が凍結されることはなく、支払いに支障が生じることはありません。

会社を設立すれば、個人事業のまま営業を続けるよりも事業を継承しやすくなります。

節税効果がある

節税効果がある

節税は、会社を設立した経営者たちが「効果があった」と答える最大のメリットです。どうして法人化すると節税効果が得られるのか見ていきましょう。

節税の流れその1:所得税と法人税の差

所得税と法人税の税率には差があります。(平成30年4月1日現在法令)

区分税率
個人事業所得税率 5~45%の7段階で区分
普通法人法人税率 23.4%
中小法人年800万円以下の部分について法人税率 19% さらに、時限的に税率15%
※中小法人とは資本金1億円以下の法人のこと。

実は、年間所得によっては、個人事業を法人化するだけで所得に対する税金がとてもお得になります。

例:年間所得600万円のときの税率
  • 個人だと・・・所得税率:20%
  • 法人だと・・・法人税率:15%

このように、年間所得が400万円の水準を維持している場合は法人化がおすすめです。

節税の流れその2:役員報酬

個人事業では、自分自身に給与を出すことができません。

一方、会社を設立すると自分自身に役員報酬を出し経費として計上できるようになります。

さらに、個人で受け取った役員報酬は給与所得控除を受けることができるため、会社を設立したほうが給与所得控除の分お得になります。

節税の流れその3:家族を役員にする

個人事業では、青色事業専従者給与として税務署に届け出をしない限り、家族の給与を支払うことができません。

一方、会社を設立した場合、他に収入の無い家族を役員とし、役員報酬を支払うことで経費として計上できる分お得になります。

節税の流れその4:役員退職金

会社設立後は、5年以上勤続した役員に対して支払う退職金を経費として計上できます。

さらに個人で受け取った退職金は、給与所得と比較すると少ない税額で済むのでお得になります。

節税の流れその5:損失の繰り越し

個人事業の損失繰越期間は3年間。一方、会社設立後の損失繰越は10年間と長くなります。

つまり、会社を設立すると、より長く赤字を繰り越せるので、長期に渡り法人税を節約できる分お得になります。

節税の流れその6:消費税の免除

資本金が1,000万円未満の法人は、会社を設立してから2年の間消費税が免除されます。

個人事業の経営が2年を経過し消費税が課税される場合は、会社を設立するだけで、2年分の消費税がお得になります。

節税の流れその7:相続税

相続税が免除される会社の資産は相続の対象とならないため、設立した会社の経営権を家族が引き継いだとしても相続税は発生しません。

個人事業による資産は相続税の対象となるため、会社を設立したほうがお得になります。

会社設立の決め手は節税!

会社設立の決め手は節税!

ここまで会社を設立することで得られるメリットを解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

特に、会社設立の流れの中で得られる節税効果のメリットはとても大きなものとなっています。

会社設立にメリットがあると感じたならば、さっそく会社設立をするための準備を始めていきましょう。

長くなりましたが、それでは、いよいよ会社設立の具体的な流れについて解説していきます。


【概要】会社設立の流れ

会社設立の流れ

まず、会社を設立するために大まかな流れをざっと見てみましょう。


会社設立に必要な手続きを把握する

基本事項を決定する

定款を作成する

資本金の払込を済ませる

登記申請書類を作成する

法務局に登記申請する



スムーズに会社を設立するには、上記の流れに沿って完璧に準備をすることがポイントです。

それではさっそく、会社設立の流れについて詳しく解説していきます!


Step0:会社設立に必要な手続きを把握する

Step0:会社設立に必要な手続きを把握する

会社設立の流れの中で、「いつ」「どこで」「どんな」手続きを行うのかしっかりと把握しているだけで、会社設立手続きはグッとスムーズに進みます。ここでは、会社設立に必要な手続きの一覧と署名捺印に必要となる印鑑の一覧、そして手続きをするうえでの注意点をまとめました。

会社設立に必要な手続きの一覧表

会社設立に必要な手続きの一覧表

※横方向にスクロールできます。
手続き 場所と所要時間 必要書類と持ち物 費用 手続きの内容 手続きの流れ
定款認証 公証役場:30分程度
  • 定款3通
  • 発起人全員分の印鑑登録証明書
  • 発起人個人の実印
  • 定款認証手数料 5万円
  • 印紙代 4万円
    ※電子印鑑の際は不要
  • 謄本交付料 約2千円
    ※定款1枚あたり250円
作成した定款を公証役場で認証してもらう
  • 定款を作成するために基本事項を決定する【会社設立の流れStep1へ】
  • 定款を作成する【会社設立の流れStep2へ】
資本金の払込 金融機関:15分程度
  • 発起人個人の銀行口座
  • 資本金
  • 振込み手数料
  • コピー代
・資本金の払込証明書を作成する ・資本金の払込【会社設立の流れStep3へ】
登記申請 法務局:完了まで1日~1週間程度
  • 【必ず提出する書類】
    • 登記申請書
    • 収入印紙の貼り付け台紙
    • 登記すべき事項を保存したCD-Rまたは記載した用紙
    • 認証済みの定款
    • 払込証明書
    • 印鑑届書
    • 会社実印用の印鑑
    • 代表取締役/代表社員の印鑑証明書
  • 【場合によって提出する書類】
    • 発起人/代表社員の決定書
    • 就任承諾書
    • 役員の印鑑証明書
    • 調査報告書、財産引継書、資本金額の計上に関する証明書
    • 許可証
    • 委任状
  • 登録免許税
    • 株式会社:15万円
    • 合同会社:6万円
      ※資本金の1,000分の7に満たない場合
申請日が会社設立日となる
  • 登記申請書類の作成【会社設立の流れStep4へ】
  • 登記申請【会社設立の流れStep5へ】
  • 会社実印の印鑑登録と印鑑証明書の取得【会社設立後にしておかなければいけない手続きへ】


書類に押印する印鑑の一覧表

書類に押印する印鑑の一覧表

書類の種類署名捺印する人印鑑の種類
登記申請書代表取締役(代表者)会社の実印
定款発起人個人の実印
払込証明書代表取締役(代表者)会社の実印
発起人の決定書発起人個人の実印
就任承諾書各役員個人の実印
印鑑届出書代表取締役(代表者)会社の実印
個人の実印
調査報告書各役員個人の認印
財産引継書出資者個人の認印
資本金額の継承に関する証明書代表取締役(代表者)個人の認印
委任状発起人個人の実印


手続きを行う際の注意点

手続きを行う際の注意点

手続きに間違いがあると会社設立が遅れてしまいます。万全の準備を整えて会社設立をスタートしましょう。

印鑑証明書について

印鑑証明書は発行されてから3か月以内のものが必要です。

印鑑証明書は会社設立手続きの流れの中で何度か使う場面があるため、はじめに2~3部ずつまとめて用意しておくと、使うたびに証明書を取得する必要がなくなります。

代理人について

定款認証を受ける際は、原則として発起人全員が公証役場に行く必要があります。

発起人が複数いて予定が合わないときは、発起人のうち1名を代理人として手続きを進めることができます。

定款認証や登記申請を代理人に委託する際は、委任状・代理人の認印と顔写真付き身分証明書(運転免許証やマイナンバーカード)または代理人の印鑑証明書と実印が必要です。

パソコン・インターネットを使った手続きについて

定款認証(電子定款)や登記申請はパソコンやインターネットを使って手続きすることもできます。

電子定款や登記のオンライン申請を利用するには、下記のものを準備します。

  • 電子証明書(マイナンバーカードなど)
  • ICカードリーダライタ
  • 申請用総合ソフト(登記・供託オンライン申請システム)
  • 電子証明書を利用するためのソフト(公的個人認証サービス)
  • 電子署名を入れるためのソフト(Adobe Acrobat Readerなど)

電子定款や登記のオンライン申請を利用すると、自宅やオフィスから会社設立に関した各種手続きが可能となり、さらに、手数料が安くなると言ったメリットもあります。

ただし、会社設立の際にゼロから電子化を準備する場合、ソフトウェアの扱いに慣れていないと、逆に時間がかかってしまいます。

そのため、電子化したいときは、代行サービスの利用も含めてどのような形で手続きを進めるのか検討するのがおすすめです。

次の見出しでは、会社設立の流れStep1「基本事項を決定する」について解説します。


Step1:基本事項を決定する

Step1:基本事項を決定する

基本事項の決め方

基本事項とは、会社の軸となる決定事項。定款にも記載する重要な決まりです。

会社設立後に変更することもできますが、変更には時間と費用がかかるため、慎重に検討して決定しなければなりません。

重要な基本事項を決めるとなると、何から手を付ければいいのか難しく感じてしまうかもしれませんがご安心を。

下記のポイントさえおさえておけば、自然な流れで基本事項が決められます。

  • どこでどんな事業を行うのか
  • どんな会社名にするのか
  • 誰がいくらお金を出すのか
  • どんな体制で会社を運営するのか

会社の方向性がイメージできたら、さっそく基本事項を決めていきます。株式会社と合同会社では、基本事項決定の流れに少し違いがあるので気をつけてご覧ください。

株式会社(発起設立)の流れ合同会社の流れ
  1. 本店所在地を決める
  2. 事業目的を決める
  3. 会社名(商号)を決める
  4. 事業年度を決める
  5. 資本金の額を決める
  6. 発起人(株主)を決める
  7. 役員を決める
  8. 株式の譲渡制限の有無を決める
  9. 発行する株式の価格・発行数・上限を決める
  1. 本店所在地を決める
  2. 事業目的を決める
  3. 会社名(商号)を決める
  4. 事業年度を決める
  5. 資本金の額を決める
  6. 出資者(社員)を決める
  7. 役員を決める

株式会社と合同会社など、会社形態の違いについては下記ページで詳しく解説しています。

株式会社、合同会社、合名・合資会社の違い

どんな形態で会社を設立するのがいいのか検討している方は、まず、上記ページを見ていただくと役立てていただけるかと思います。


それではさっそく具体的な基本事項決定の流れを解説していきます。ここで完璧な基本事項を決定すれば、定款作成がうんと楽になりますよ。

1.本店所在地決定の流れ

本店所在地決定の流れ

本店所在地を決定する流れは、

  1. 賃貸物件の場合は、事業所として利用可能か契約を確認する
  2. 定款に記載する本店所在地を決定する
となります。

会社を設立する場所については特に制限がありません。そのため自宅や自宅兼事務所も、本店所在地とすることができます。

本店所在地の決め方は、

  • 最小行政区画(市区町村)までで決める
  • 番地や部屋番号まで決める
上記のどちらかを選びます。

法的には、最小行政区画まで記載されていれば問題ありません。ただし、登記申請時には、番地や部屋番号を含む具体的な場所まで記載する必要があります。

基本事項を決める段階で本店所在地をどこまで含めるかについては、以下のようにそれぞれ違ったメリットがあるのでよく検討して決定してみてください。

最小行政区画まで番地や部屋番号まで
同じ市区町村の場合、移転による定款の変更が省略できる発起人の決定書の提出が不要となる


2.事業目的決定の流れ

事業目的決定の流れ

事業目的を決定する流れは、

  1. どのような事業を行うのか、具体的に考える
  2. どこまで事業目的に織り込むのか確認する
  3. 許認可業種の場合は、事業目的の記載方法を確認する
となります。

事業目的の条件

事業目的は、どんな会社なのかを判断する最重要事項。下記条件を満たした事業目的を考えます。

適法性法律に違反していないこと
営利性直接利益が上がる事業であること
明確性誰が見ても明確であること
具体性具体的で分かりやすいこと

事業目的は、ひらがな・カタカナ・漢字のみを使用します。もしも、どんな事業目的がいいか分からないときは、同業者を参考にしてみるのもおすすめです。

事業目的の範囲について

将来的に事業拡大を検討しているときは、その事業目的を会社設立時から含めることもできます。

含めて記載する場合定款の変更が不要。ただし、追加しすぎると事業目的が不明確になり、良くない印象を与えてしまう。
後から追加する場合設立当初の事業目的が明確。ただし、後で追加したいときは定款の変更が必要となり、費用が発生する。

事業目的をどこまで織り込むかは、上記のことを参考にしっかりと検討する必要があると言えます。

許認可業種について

許認可業種とは、事業を行うにあたり免許や許可が必要な業種です。許認可業種の事業を行う場合は、事業目的に許認可に適した所定事項を記載する必要があります。

例1:リサイクルショップ古物営業法に基づく古物商
例2:派遣サイトの運営一般労働者派遣事業

事業目的が適切かどうか不安なときは、直接法務局で確認してもらうと安心です。

3.会社名(商号)決定の流れ

会社名(商号)決定の流れ

会社名を決定するときの流れは、

  1. ルールに沿って、会社名の候補を決める
  2. すでに設立されている会社の商号調査をする
  3. 会社名を最終チェックする
となります。

会社の顔となる会社名は、読みやすく覚えやすいことはもちろん、会社名で事業内容をイメージできるものが最適です。

グローバルな事業展開を検討している場合は、海外でも通用するような会社名を選ぶことも考えておきましょう。

会社名の形式について

会社名の形式は、「〇〇株式会社/株式会社〇〇」、または「〇〇合同会社/合同会社〇〇」と、設立する会社形態を必ず含みます。

会社名に使える文字・記号について

会社名に使えるのは、ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字・数字と下記6種類の記号です。

「&」「’」「,」「‐」「.」「・」

なお、上記の記号は、「.」(ピリオド)を除き、文頭・文末に使うことはできません。また、記号を連続して使うこともできません。

使用不可例1&〇〇株式会社
使用不可例2株式会社・・・〇〇

使用できない文字について

会社名には、下記のような文字を含めることができません。

  • 「銀行」「信託」 ※銀行業や信託業を行う会社以外
  • 「大学」「財団」「病院」など
  • 「ソニー」「三菱」など既存の有名企業の会社名
  • 「支店」「支社」「代理店」「特約店」など他社の一部門として誤認されてしまう文字

商号調査について

すでに設立されている会社と同一の商号で、なおかつ本店所在地も同一であると会社を登記することができません。

そのため、「本店所在地を管轄する登記所に設置された端末」または「オンライン登記情報検索サービス」を利用して商号調査を行います。

会社名の最終チェックについて

基本的に、商号調査で問題がなければ好きな名前の会社を設立できます。しかし、まだまだ会社を設立するには完璧ではありません。

類似商号規制は廃止となりましたが、

何人も、不正の目的をもって、ほかの会社であると誤認されるおそれのある名称又は商号を使用してはならない


と、不正競争防止法で定められています。

仮に、不正の目的がなくても営業上の利益が損害されたとなれば、設立した会社名が原因で訴えられてしまう可能性があります。

そのため、会社名を最終決定する前に、

  • 既存の会社名と重複・類似していないか
  • 商標登録されていないかどうか
ということだけは必ず確認しておく必要があります。

特に同業種の場合は要注意。故意に類似させたと思われることがないように慎重に会社名を決定します。

類似社名例1類似社名例2
外観類似大丸犬丸
SONYSOMY
観念類似和平平和
スター
観念類似タツタツ
Aエー

インターネットを活用し、サービス名や商品名・製品名など類似していないか、しっかりチェックした上で会社名を決めるとトラブルがありません。

4.事業年度を決める

事業年度を決める

事業年度を決定する流れは、

  1. 事業の繁忙期を確認する
  2. 法人税の納税時期を把握する
  3. 最初の決算日を確認する
となります。

一般的には3月決算の会社が多くなっていますが、法人の決算日は自由に決められます。また、ひと月を1日~31日と暦に合わせる必要もなく、月の途中でも決算日とすることができます。

決算日の記載方法は、「4月1日~3月31日」というように記載します。ただし、2月決算にする場合は、うるう年があるため、「3月1日~2月末日」とします。

繁忙期と決算月について

事業の繁忙期と決算月は重複しないようにするのがおすすめです。

また、決算・税務手続きを税理士や会計事務所などに依頼する場合は、コストを抑えるためにあえて決算月をずらすという方法もあります。

納税時期について

法人税は、決算日から2ヵ月以内に納税しなくてはいけません。納税時期が資金にゆとりのある時期となるように決済日を調整することで、手元に多く資金を残すことができます。

設立後、初めての決算日について

設立日と決算日のタイミングによっては、設立後間もない時期に決算日が来てしまいます。設立日から初めてくる決算日が、どのような時期にあたるのかを確認してから決めることで、設立後初めての決算日を落ち着いて迎えることができます。

5.資本金の額を決める

資本金の額を決める

資本金額を決定するには以下の2つ確認しておく必要があります。

  1. 必要な資本金の最低額
  2. 資本金に充てられる資金が全部でいくらあるのか


資本金1円でも会社設立自体は可能です。ただし、極端に資本金が低い会社は、下記のようなリスクがあります。

  • 取引先に信用されにくい
  • 金融機関の融資が受けにくい
  • 設立後、資金不測に陥りやすい
もちろん、資本金が少ない会社よりも多い会社のほうが信用は得やすくなります。ただし、資本金は多ければ多いほど良いというわけでもありません。

資本金の壁と節税について

資本金には1,000万円の壁と1億円の壁があります。

資本金1,000万円未満設立から2期分の消費税が免除(上半期の売り上げによる)
資本金1,000万円以下法人住民税の均等割税金が半額以下(18万円→7万円)

上記のことから、資本金は1000万円未満に抑えるほうが、会社を設立による節税効果を大きく得られます。

資本金が1億円を超えてしまうと節税効果は薄くなります。もしも、資本金額が1,050万円や1億200万円というように、資本金の壁を少し超える場合は、資本金を減らす減資がおすすめです。

資本金と責任範囲について

株式会社や合同会社は有限責任となり、万が一事業が破綻してしまっても、その責任は資本金の範囲までに限定されます。

「個人資産にゆとりがあるから・・・」と、不必要に資本金額を多くしてしまうと、資産を多く失う可能性があるため注意が必要です。

許認可業の資本金と資産額について

許認可業の中には、許認可取得の際一定以上の資産があることが基準として定められています。

運送業会社の資産が300万円あること
建設業会社の資産が500万円あること

会社設立時に資本金のみでこの基準を満たせるようにしておけば、「資産不足で許認可が下りなかった・・・」ということはありません。

6.発起人・出資者を決める

発起人・出資者を決める

発起人・出資者を決定するには、

  1. 誰がいくら出資するのかを確認する
  2. 議決権を確認する
というながれを確認しておきましょう。

会社設立の際にお金を出した人を発起人や出資者と呼び、発起人や出資者が株式会社の株主・合同会社の社員となります。

発起人や出資者になりたいときは、株式会社で1株以上・合同会社で1円以上の出資が必要です。

議決権の違いについて

株式会社の株主と合同会社の社員は、それぞれ議決権を持ちますが内容には違いがあります。

議決権の違い
株式会社所有する株式数に応じて一定の議決権を持つ
合同会社出資額に関係なく社員一人一票の議決権

このように、実は、株式会社と合同会社では、上記のような議決権の違いがあるのです。

例えば、ご自身が会社を設立する際、業務執行に関して強い権利を持ちたいときは、

株式会社株式を一番多く保有する
合同会社協議して最も強い業務執行権を得る

といった方法を取る必要が出てくるわけです。業務執行権については、次の「役員を決める」で詳しく解説します。

7.役員を決める

役員を決める

役員を決定する流れにも、株式会社と合同会社で少し違いがあります。

株式会社まずは、どのような会社組織にするか考え、役員の人数を決める
合同会社社員すべてが業務執行権・代表権を持つため、定款で定めて代表社員を限定する

株式会社の場合は、保有する株式数に応じてその人が持つ業務執行権の影響力が大きくなりますが、合同会社は定款で定めない限り、すべての社員が平等な業務執行権を持ちます。

株式会社の会社組織

新会社法により、株式会社では取締役[1]が1名以上いれば会社を設立できるようになりました。

そこで、株式会社の場合は、会社規模に合わせて下記のパターンで役員を置くのがおすすめです。

代表取締役[1]のみ従来の有限会社と同じ組織構成。手軽に会社が設立可能です。
取締役1~2名+監査役[1]1名新会社法に配慮した組織構成。監査役を置くことで会計監査の信ぴょう性が増します。
取締役3名~+監査役1名~株式会社らしい組織構成。信用を得やすく理想的な会社組織となります。



取締役会社の業務執行に関する意思を持つ役員
代表取締役会社の代表権を持つ取締役
監査役会社の会計を監査する役員、取締役と兼任不可

合同会社の会社組織

すべての出資者が代表権を持つ合同会社は、意見の食い違い等から円滑に業務を執行できない可能性があります。

そのため、定款で代表社員を定め、会社の意思を統一することが重要です。

合同会社の会社組織は下記となります。

代表社員社員全員の代表者
業務執行社員業務執行権を持つ社員
社員出資のみ行い業務執行権を持たない社員

合同会社は、どのように会社を組織すれば業務が円滑に執行できるかをしっかりと考えて役員を置くことが重要です。

8.株式の譲渡制限の有無を決める

株式の譲渡制限の有無を決める

株式会社は、株主が保有している株式を売買する際に、会社の許可が必要かどうかを決定する必要があります。

株式譲渡によるトラブルを防ぐためには、株式の譲渡制限を設けるのがおすすめです。

9.発行可能株式総数を決める

発行可能株式総数を決める

株式会社を設立するときは、あらかじめ発行可能株式総数を定め、定款に記載しておくことが必要です。

つまり、定款を変更しない限り、設立時に決めた上限を超えて株式を発行することはできません。

仮に、資本金300万円、1株5万円とした場合、発行株式は60株となります。発行可能株式総数を60株とした場合、株式を追加発行することはできません。

そのため、将来的に設立当初よりも多くの株式を発行したい、発行する予定があるという場合は、あらかじめ発行可能株式総数を多めに定めておくことで、定款変更の手間や費用が省けます。

基本事項は会社の骨格

基本事項は会社の骨格

ここまで、基本事項決定の流れについて解説してきましたがいかがでしたでしょうか。

基本事項は会社の骨格となる重要事項。焦らずじっくりと検討しながら基本事項を決めていくことが重要です。

しっかりと基本事項を作成しておくと、会社設立の流れStep2「定款を作成する」での負荷をうんと削減することができます。


Step2:定款を作成する

Step2:定款を作成する

定款を作成する流れ

定款を作成する流れ

定款とは、設立する会社の根本的な規則を記載した書面です。

定款を作成する流れは、

  1. 定款に記載する内容を確認する
  2. 記載事項を書面にまとめる
  3. 定款認証を受ける
となります。

まずは、定款に記載する内容を見ていきましょう。

定款に記載する内容

定款に記載する内容

事項の種類事項の効力事項の内容
絶対的記載事項定款に必ず記載しなければいけない事項
  • 本店所在地
  • 事業目的
  • 会社名(商号)
  • 資本金額
  • 発起人の氏名と住所
  • 発行可能株式総数 ※1
相対的記載事項定款に記載した場合のみ効力が認められる事項
  • 株式の譲渡制限に関する規定
  • 発起人の報酬
  • 役員の任期の延長
など、多数の事項
任意的記載事項定款に記載することで、定款変更の手続きを取らない限り変更できない事項
  • 事業年度
  • 公告方法
など、違法性がない事項

上記の表をご覧いただくとおわかりになると思いますが、絶対的記載事項には先の見出しで解説した「基本事項」が含まれています。

それに加えて、定款には、そのほか効力を持たせたい事項や目的を明確にした事項などを記載していくことになります。

定款にどのような内容を記載するかは、会社設立の流れの中でも最も時間を要する作業です。基本事項と照らし合わせてじっくりと取り組んでみてください。

書面の作成について

書面の作成について

定款を書面として作成するには下記の方法があります。

  • 自分自身で一から書面を作成する
  • 公証役場が公開している雛形を利用する
  • 会計ソフトを利用する
  • 代行業者に依頼する

作成した定款原案は、管轄の公証役場で事前チェックを受けましょう。定款認証を受ける前に確認を済ませておくことで、定款認証がスムーズに進みます。

定款認証について

作成した定款原案は、公証人の認証を受けることで効力を持ちます。定款認証が受けられないと会社設立の流れを進めることができません。

定款認証の流れは、

  1. 認証方法を選び準備をする
  2. 公証役場に出向き、定款認証を受ける
となります。

定款には、紙定款電子定款の二通りの認証方法があり、どちらの方法を取るかによって手続きの流れや必要書類に違いがあります。

紙定款と電子定款の手続きの流れ、必要書類や費用の違いは下記表をご覧ください。

紙定款電子定款
手続きの流れ
定款を製本し、3部用意する
定款の最後の項に発起人が署名・捺印
発起人全員が定款の前項に割印
定款認証に出向く日の前日までに、管轄の公証役場に連絡
発起人全員、または代理人が公証役場に出向き、定款認証を受ける
定款の最後の項に発起人全員が電子署名
登記・供託オンライン申請システムから管轄の公証役場宛てに申請
定款認証に出向く日の前日までに、感覚の公証役場に連絡
発起人全員、または代理人が公証役場に出向き、定款認証を受ける
必要書類
  • 定款 3部
  • 印鑑証明書 発起人全員分
  • 実印 発起人全員分
  • 印鑑証明書 発起人全員分
  • 実印 発起人全員分
  • または
  • 発起人全員分の顔写真付き身分証明書類と認印
費用
  • 定款認証代 5万円
  • 謄本代 約2千円
  • 収入印紙 4万円分(※株式会社のみ)
  • 定款認証代 5万円
  • 謄本代 約2千円

定款認証は会社設立のかなめ

定款認証は会社設立の要

一度認証された定款を変更するには、株主総会で定款の変更を決定するか、総社員の同意を得る必要があります。

いくら完璧な基本事項を決定しても、定款認証が受けられなければ会社は設立できません。そのため、定款の作成については、プロに代行を依頼するのも一手です。

定款認証を受けると、ようやく会社設立する上で重要な手続きの1つ目が終わります。

それでは次に、定款に記載した資本金額を払込みするために、会社設立の流れStep3「資本金の払込を済ませる」に進みましょう。


Step3:資本金の払込を済ませる

Step3:資本金の払込を済ませる

資本金の払込の流れ

資本金の払込の流れ

資本金の払込とは、基本事項や定款の絶対的記載事項に記載した資本金額を、金融機関の預金口座に振込みをする手続きです。

資本金の払込の流れは以下のようになります。

  1. 発起人個人の預金口座を準備する
  2. 発起人の預金口座に、発起人名義で出資額を振込みする
  3. 払込証明書を作成する
  4. 設立登記後に法人口座を開設し、個人口座から法人口座へ資本金を移動する

ここで作成する払込証明書は、設立登記の際に必要となりますのでしっかりと管理しておきましょう。

払込証明書の作成

払込証明書の作成

払込証明書に記載する内容は下記となります。

  1. 定款に記載した資本金額(発行株式数)
  2. 口座に振込みされた資本金額の合計
  3. 資本金が口座に振込みされた最後の日付
  4. 設立する会社の本店所在地と会社名
  5. 会社設立時の代表取締役または代表社員の署名捺印

1~5までを記載した書面を表紙に、下記通帳のコピーを順にホッチキスで綴ります。

  1. 通帳の表紙
  2. 通帳見開き1ページ目
  3. 資本金がいつ・誰から・いくら振込みされたのか確認できるページ

綴られた各ページに会社実印で契印をして完成となります。

資本金の払込のQ&A

資本金の払込のQ&A

ここで少し、資本金の払込に関して多い質問にお答えしておきます。

  • Q
    会社設立の際、資本金払込用の預金口座を新たに作成する必要はありますか?
    A
    口座はすでにある個人名義のものが利用可能です。
  • Q
    資本金はいつ払込みしますか?
    A
    資本金は定款認証を受けてから払込みします。定款認証を受ける前に払込みをすると、設立登記を受付してもらうことができません。
  • Q
    発起人が複数いる場合はどのように払込みしますか?
    A
    代表となる発起人の預金口座へ振込みします。
  • Q
    払込みする資本金額を間違えてしまったらどうなりますか?
    A
    少ない額を振込みした場合は、本来の資本金額が満たせるように追加で振込みをします。多い額を振込みした場合は、払込証明書で正しい金額を記載します。会社定款に記載された資本金額と異なる場合は、設立登記を受付してもらうことができません。
  • Q
    個人名義の口座に振込された資本金を一時的に借りることはできますか?
    A
    会社設立の資本金は個人の支出に使うことはできません。
  • Q
    資本金は振込みではなく、預入でも構いませんか?
    A
    発起人が一人となる場合は預入でも構いません。発起人が複数となる場合は、誰がいくら資本金を払込みしたのか明確にするため振込みをします。
  • Q
    ネット銀行は使えますか?
    A
    通帳コピーを取るときと同じの内容がプリントアウトできればネット銀行でも大丈夫です。


資本金払込から2週間以内に登記申請を

資本金払込から2週間以内に登記申請を

登記申請は、資本金の払込から2週間以内に済ませる必要があります。そのため、2週間以内に登記申請ができるタイミングで資本金を払込みしなくてはいけません。

ぜひ、会社を設立する流れStep4「登記申請書類を作成する」に目を通し、資本金の払込からスムーズに登記申請ができるように準備してみてください。


Step4:登記申請書類を作成する

Step4:登記申請書類を作成する

資本金の払込から2週間以内に、下記登記申請書類を法務局に提出します。

ここでは、登記申請に必要となる書類の種類、記入する内容、取得・作成方法を一覧にまとめました。

登記申請書類の一覧

登記申請書類の一覧

※横方向にスクロールできます。
書類の種類記入する内容取得・作成方法備考
★登記申請書
  • 商号
  • 本店所在地
  • 登記の事由
  • 登記すべき事項
  • 課税標準金額(資本金の額)
  • 登録免許税
  • 添付書類 一覧
  • 申請年月日
  • 署名(本店所在地、商号、設立時代表取締役/代表者印の住所、署名捺印、連絡先)
    ※代理人が申請する場合は代理人の署名捺印
パソコンまたは手書きで作成(鉛筆書き不可) 法務局のホームページで申請書様式をダウンロード可能
★収入印紙の貼り付け台紙収入印紙を張り付け登記申請書と同サイズ、白紙の用紙を用意する割印をしないこと
★登記すべき事項を保存したCD-R
または記載した用紙
定款で定められている事項
  • 商号
  • 本店
  • 公告をする方法
  • 目的
  • 資本金の額
  • 取締役/社員に関する事項
など
CD-Rに保存 または 登記申請書など用紙に記載する 法務局のホームページで登記事項の作成一覧がダウンロード可能
★定款Step2で作成した認証済みの定款紙定款は定款の謄本、電子定款の場合は定款を保存したCD-Rを用意
★払込証明書Step3で作成した払込証明書と通帳コピーの綴り
★印鑑届書様式の指示通りに記入法務局で用意されています代表取締役/代表社員の個人実印を押印、個人の印鑑証明書を添付
★代表取締役/代表社員の印鑑証明書印鑑届書に添付住民票のある市区町村で取得発行から3ヵ月以内のもの
発起人/代表社員の決定書
  • 本店所在地を決定した旨
  • 設立時代表取締役/代表社員を決定した旨
  • 発起人/代表社員全員分の署名捺印
パソコンまたは手書きで作成 定款で本店所在地を番地、部屋番号まで記載していない場合に必要
設立時代表取締役選定書 設立時代表取締役を選定し、選定者が就任を承諾した旨 パソコンまたは手書きで作成 株式会社を設立する際、取締役会を設置する場合
※設立時代表取締役選定書を作成した場合は、設立時代表取締役の就任承諾書は不要
就任承諾書代表取締役/代表社員、監査役の就任を承諾した旨パソコンまたは手書きで作成
  • 設立時代表取締役/代表社員、監査役ごとに就任承諾書を作成
  • 各役員の個人実印を押印、個人の印鑑証明を添付
役員の印鑑証明書就任承諾書に添付住民票のある市区町村で取得発行から3ヵ月以内のもの
調査報告書
財産引継書
資本金額の計上に関する証明書
記入例については法務局ホームページ申請様式の記入例をご確認ください パソコンまたは手書きで作成資本金に現物物資が含まれる場合に必要
許可証 許認可業種に応じた許可証 許認可業種に応じた申請・届出の受付窓口 許認可業種の事業を行う場合に必要
委任状代理人と定め、権限を委任した旨パソコンまたは手書きで作成登記申請を委任する場合に必要

書類はすべてA4サイズで作成します。★マークがついた書類は必ず提出する書類です。その他の書類については、場合によって提出が必要となります。

各書類の具体的な記入例や様式については、法務局のホームページから確認できます。

「商業・法人登記申請手続き」


登記申請書類作成のコツ

登記申請書類作成のコツ

基本的には、資本金の払込をしてから登記申請書類を作成するのではなく、書類一式が用意できてから資本金を払込むようにすることでゆとりを持って登記申請書類が作成できます。

作成した書類は、印鑑証明書以外のすべての書類を重ねてホッチキス止めで製本します。なお、この時はまだ収入印紙を貼付せず、法務局で書類一式を確認してもらってから貼り付けすると間違いがありません。


ここまでくれば、会社設立まであと一歩。いよいよ会社設立の流れStep5「法務局に登記申請に行く」に進みます!

Step5:法務局に登記申請に行く

Step5:法務局に登記申請に行く

法務局へ登記申請に行く流れ

法務局へ登記申請に行く流れ

登記申請とは、言わば会社の出生届のようなもの。法務局へ行き登記申請をした日が会社設立日となります。

登記申請に行くときの流れは、

  1. 事前に法務局の管轄区域と取扱事務を確認する
  2. 登記申請をする日を決める
  3. 法務局へ行き、登記申請書類を提出する

となります。

法務局の窓口に登記申請書類一式を提出し問題がなければ、登記完了予定が記載された紙が渡されます。なお、完了予定日は各法務局のホームページでも公開されています。

申請先について

最寄りの法務局が出張所や支局となっている場合があるため、必ず商業・法人登記を取り扱いしているか確認しておきます。

登記申請日について

登記申請できるのは、法務局が営業している月曜日から金曜日の午前8時30分から午後5時15分です。つまり、土曜・日曜・祝日・年末年始(12/29~1/3)を会社設立日とすることはできません。

窓口で手続きをする場合、登記申請をした日が会社設立日となりますが、法人住民税を節約したいときは2日以降がおすすめ。均等割により1ヵ月分の住民税がお得になります。

申請者について

法務局へ行き登記申請書類を提出するのは、原則として代表取締役または代表社員となります。登記申請を代理人に委託する場合は、委任状が必要です。

登記申請時の持ち物

法務局へ登記申請に行くときは、下記持ち物を持参します。

  • 製本した登記申請書類
  • 印鑑証明書
  • 個人実印と会社実印
  • 登録免許税の収入印紙代
 
収入印紙は法務局内に設置された販売書で購入できますが、あらかじめ購入した収入印紙を持参することもできます。

窓口以外の登記申請方法

申請登記は、直接窓口に書類を提出する方法だけでなく、郵送またはオンライン申請が利用できます。

ただし、設立日には下記のようなタイムラグが生じるため、設立日を選びたいときは法務局で直接申請するのがおすすめです。

登記申請方法会社設立日
法務局で申請法務局に申請書を提出した日
郵送で申請法務局に申請書が到着し、受付された日
オンラインで申請申請先の登記所でデータが受理された日


登記申請後、登記簿謄本を取得する

提出した書類に不備があった場合は、電話にて連絡が入ります。

特に問題がなければ、登記完了予定日以降に登記簿謄本が取得できるようになり、会社設立完了となります。

これで新たに会社が誕生することとなりましたが、実はまだまだやらなければいけないことがあります。次の見出しでは、登記簿謄本を取得した後の手続きについて解説します!


会社設立後にしておかなければならない手続き

会社設立後にしておかなければならない手続き

印鑑カードの交付申請

印鑑カードの交付申請

印鑑証明書を取得するには印鑑カードが必要です。管轄の法務局に印鑑カード交付申請書を提出すると印鑑カードが交付されます。

なお、印鑑カード交付申請書は、法務局の窓口または法務局のホームページに用意されています。

印鑑カードの交付申請は、登記簿謄本を取得する際に同時申請することができます。

会社設立後の手続きに何枚か必要となるため、登記簿謄本と印鑑証明書は3枚以上取得しておくと取得の手間を省略できます。

税務署への届出申請

税務署への届出申請

会社設立後は、税務署に次の届出書を提出します。

税務署への届出書
【必ず提出する届出書】【必要に応じて提出する届出書】
  1. 法人設立届出書
  2. 源泉所得税関係の届出書
  3. 消費税の届出書
  1. 青色申告の承認申請書
  2. 棚卸資産の評価方法の届出書
  3. 減価償却資産の償却方法の届出書
  4. 有価証券の一単位当たりの帳簿価格の算出方法の届出書

法人設立届出書は、設立した日から2ヵ月以内に管轄の税務署に提出しなければいけません。

なお、これらの届出書類は、税務署の窓口で取得できます。税務署へ提出する届出書と同じものを県税事務所と市町村役場へも提出するため、必要となる届出書の記入内容や添付書類、提出期限をあらかじめ確認しておくと安心です。

社会保険関連も忘れずに

社会保険関連も忘れずに

社会保険は加入が義務付けられています。忘れずに手続きをしましょう。

健康保険・厚生年金

届出先年金事務所
届出期限会社設立から5日以内
添付書類登記簿謄本


健康保険・厚生年金の手続きは、代表者1名のみの会社でも手続きが必要です。

雇用保険

届出先ハローワーク(公共職業安定所)
届出期限従業員を雇用した日の翌日から10日以内
添付書類登記簿謄本


会社設立当初から従業員を雇用するときは、会社設立から10日以内に手続きをしましょう。

労災保険

届出先労働基準監督署
届出期限従業員を雇用した日の翌日から10日以内
添付書類登記簿謄本、労務者名簿、賃金台帳、出勤簿、就業規則届(従業員が10人以上いる場合)


保険関係が成立してから50日以内に、保険料の申告書の提出と保険料の納付が必要です。



ここまでで、会社設立に関する手続きは終わりです。

次の見出しからは、会社設立後に上手くスタートを切るために、手続き以外に準備しておきたいものや会社設立のポイントを解説していきます。


会社設立後に必要!早めの準備で軌道に乗せる

会社設立後に必要!早めの準備で軌道に乗せる

法的な会社設立手続きを終えても、実際に会社を運営するには他にも準備するものがたくさんあります。早めに準備を済ませることでスムーズに事業をスタートさせることができます。

各種契約書

各種契約書

その都度新しく契約書を作成していては時間がかかります。業務を円滑に進めるには、いつでも使えるようにあらかじめ契約書を準備しておくと効率的です。

会社で使う書類は、インターネットでフリーの雛形をダウンロードして使うこともできます。

例:雇用契約書、業務委託契約書、請負契約書、売買契約書、領収書 など

法人銀行口座・法人クレジットカード

法人銀行口座・法人クレジットカード

登記簿謄本の取得後は、個人口座にある資本金を法人口座に移動させるために、必ず法人の銀行口座を作成しなくてはいけません。

もちろん会社設立後はビジネスとプライベートの区別をつけるため、経費の支払いは法人口座を使用することになります。

法人口座が開設できたら、ぜひおすすめしたいのが法人クレジットカードの入会です。法人カードがあれば、現金で経費を支払いしていた時よりも経費処理の負荷をうんと減らせるようになりますよ。

オフィス関連

オフィス関連

定款を作成するときには、設立する会社の本店所在地を決めておかなくてはいけません。

会社設立の流れの中で、オフィス選びに困ってしまうときは、ぜひ下記のポイントをおさえてみてください。

自宅兼事務所とする場合

会社の本店所在地を自宅とした場合でも、下記のようなスペースを有効活用すれば、状況に応じて商談場所を確保や、ビジネスとプライベートを区別するために、ビジネス拠点を持てるようになります。

コワーキングスペース利用料を支払うことで共有スペースが利用できる
シェアオフィス複数の起業家で賃貸オフィスをシェアする


自社オフィスを構える場合

自社オフィスを構える場合は、下記のような選択肢があります。

レンタルオフィスビジネス環境や設備が整っているオフィスをレンタル
賃貸オフィス・貸事務所オフィスとして利用可能な賃貸物件に入居
バーチャルオフィスバーチャル空間上の会社住所や電話番号を利用する


レンタルオフィスはワークスタイルに合わせて、個室タイプや間仕切りタイプなどが選べます。最初からビジネスに必要な備品類が完備されているため、借りるだけですぐに業務をスタートさせることが可能です。

一方、賃貸オフィス・貸事務所は、オフィスを構える際の初期費用がかかるものの、会社としての信頼性は最も高くなります。

最近では法人登記にも対応したバーチャルオフィスも利用されています。オフィスを構える費用を節約できるメリットがありますが、会社としての信頼性は劣ってしまうのが現状です。



これらのことを早々に準備しておくと、設立して間もない会社であっても、信用できる会社だと良い印象を与えることができます。


知って得する!会社設立のポイント

知って得する!会社設立のポイント

最後の見出しでは、会社設立の流れの中で有効活用できるサービスなど、有意義かつ効率的に会社設立するためのポイントを解説します。

会社印鑑をお得に作成するには

会社印鑑をお得に作成するには

会社印鑑は、会社形態や会社名が決まった段階で作成しておきます。実印・銀行印・角印(社印)は、それぞれ単体で作成することもできますが、会社設立セットを購入するほうが圧倒的にお得です。

会社印鑑の作り方と基礎知識

会社設立は代行サービスを利用して賢く準備

会社設立は代行サービスを利用して賢く準備

会社設立の流れを把握する中で「ややこしい」と感じたら、設立代行サービスを利用するのもおすすめです。手続きの流れや必要書類を理解しきれないまま自力で会社設立を進めてしまうと、間違えていた時にやり直ししなくてはいけません。

また、代行サービスは、短期間で会社設立ができるというメリットがあるので十分に代行手数料を払う価値があります。

会社設立に必要な書類作成等を業者に委託することで、別の準備をする時間ができるので、会社設立まで時間があまりないときはぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

会社設立前に用意しておくと失敗しない7選

会社設立前に用意しておくと失敗しない7選

会社設立後、いち早く軌道に乗せるには、法的な手続きや事務処理だけでなく、設立した会社をアピールしていくことがとても重要です。会社を設立した後に勢いを失ってしまうことがないよう、ぜひ下記項目に目を通し事前に用意してみてください。

会社のロゴ

視覚イメージは何よりも記憶に残りやすいです。会社のロゴはホームページや名刺、挨拶状・冊子などにも使用するため、早い段階で作成しておくことを強くおすすめします。

会社のホームページ

何か知りたいとき、電話をかけるよりも先にWEBサイトをチェックすることの方が多いのではないでしょうか。

インターネットで情報収集することが当たり前となった今、インターネットを検索した時にホームページがないとそれだけで信用されないことがあります。

ホームページはこれから設立する会社の顔となります。できれば早い段階でホームページ制作を検討してみてください。

会社名が決まったらドメインを先に取得しておくのもおすすめです。

名刺

ビジネスチャンスはいつどこで起こるか分かりません。せっかく新規の取引先が獲得できそうなのに名刺がないことでその機会を失ってしまうことにもなりかねません。

会社の基本的な情報が揃ったら、いち早く名刺を作成しておきましょう。

挨拶状

挨拶状とは、会社を設立した旨をお知らせするものとなります。

個人事業を法人化したとき、独立して自分の会社を持った時など、これまでにお世話になった方に挨拶状を送付すると、顧客や取引先を紹介してもらえるかもしれません。

会社概要のチラシや冊子

ホームページとは別に、どのような事業を行う会社なのかが分かるチラシや冊子を作っておくと便利です。

営業に出向いた際、口頭で会社を説明しても相手の記憶には残りづらいものです。もし、見栄えの良い会社概要を記したチラシや冊子があれば、後からでも興味を持ってもらうことができます。

どんなチャンスも逃さないように準備しておくことが非常に大切です。

営業資料

設立したばかりの会社にとって、どのように信頼してもらうかがとても重要です。

個人事業から法人化した場合は、これまでの実績が分かる資料、独立して会社を設立したときは、同業者と比較してどのようなサービスを提供できるのか分かりやすく示した資料があると信頼されやすいです。

経理業務

会社設立前に経理業務の流れを作っておくと、設立直後の取引もスムーズに進みます。

経理の主な仕事は、

  • 仕入管理
  • 売上管理
  • 現金・預金出納
  • 給与・社会保険料計算
  • 資産管理
  • 決算処理
  • 税金納付
と、多岐にわたります。

自力で経理業務を行うのか、経理事務の経験を持つ従業員を雇うのか、また記帳代行サービスや会計ソフトを利用するのか、そして税理士や会計事務所に委託するのかなど経理業務の流れを考えておきましょう。



さて、会社設立の流れを解説しましたがいかがでしたでしょうか。いざ会社設立手続きを進めていくと、書類に何を記載すればいいのか分からなくなってしまうこともあるかと思います。

このページでも紹介しましたが、法務局のホームページでは、作成する書類の様式や記入例などが掲載されています。また公証役場や法務局では、手続き前に事前チェックを受けることもできるので、分からないことは相談しながら手続きを進めてみてください。

ゼロから会社を設立し、いち早く軌道に乗せるには、会社設立手続きの流れだけでなく、会社設立前後に必要なものを把握していただくことが一番の近道です。ぜひこのページを読み返しながら、会社設立を進めていただければ幸いです!


関連ページ:
会社設立にかかる費用