「会社って、いくらお金があれば作れるの?」
独立して自分の会社を作るとき、個人事業を法人化するとき。初めて会社を設立するときは色々とわからないことが多いと思います。 そもそも会社設立自体、手続きが煩雑で大変です。
そこで今回は、
- 会社設立したいけど、いくら費用があれば設立できるのかわからない
- わかりやすいサイトがなくて調べるのが大変
- たくさんの情報の中で、どれが正しい情報なのかわからない
- 会社設立の流れに沿って、いつどのタイミングでいくら費用がかかるのか教えて欲しい
といった声にお応えし、会社設立に必要な費用についてわかりやすくまとめてご紹介します。
ちなみに、一般的に会社を設立するときには、資本金とは別に下記の費用が必要です。
- 株式会社の設立費用:約24万円
- 合同会社の設立費用:約10万円
このように、実は「株式会社」と「合同会社」でも設立費用に差があるのです。
それでは、会社設立の流れとその費用の詳しい内訳、株式会社と合同会社ではどうして設立費用に違いがあるのか、などについてわかりやすく解説していきます。
この記事を書いた人
「社判・社印・角印・丸印…」一口に会社印鑑(法人印鑑)と言っても、様々な種類があり難しいですよね。そんな会社印鑑について、印鑑通販サイトを30以上比較し、年間2.5万本の印鑑作成に貢献している筆者がわかりやすく解説。みなさまの満足のいく法人印鑑作成をサポートいたします。
【目次】
はじめに:会社設立の流れ
設立にかかる費用を計画的に用意するには、そもそもどのような流れで設立を進めていくのかを把握して置かなければなりません。
まずは全体の流れをイメージしていただくために、「いつ」「どこで」「どんな費用がかかるのか」についてまとめてあります。また、併せて、その際に必要になる印鑑についてもご確認いただけます。
手続き先 | 費用発生 | 必要な印鑑 | |
---|---|---|---|
1.会社形態の決定 | ※印鑑作成費用あり | 会社印鑑を作成する | |
2.定款作成と認証 |
| あり | 会社実印と個人実印 |
3.資本金の払込み |
| あり | 会社実印と個人銀行印 |
4.登記書類作成と申請 |
| あり | 会社実印と個人実印 |
5.開業 |
| なし | 会社実印と会社銀行印 |
※会社形態とは
形態によって、設立費用や手続きに違いがあるため、まずは、どんな形態で会社を作るのかを決めることが第一歩となります。- 株式
- 合同
- 合資
- 合名
また、会社を設立するのに印鑑は必ず必要となります。そのため、形態と社名が決定したら、このタイミングで会社印鑑(実印・銀行印・角印)を作成しておきましょう。
関連詳細ページ:
会社印鑑の作り方と基礎知識
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次の見出しからは、会社設立にかかる費用について詳しく解説していきます。
会社設立にかかる費用の内訳
会社を設立するときには、設立手続きの中で何度か費用が発生するタイミングがあります。
ここでは、会社の設立にはいくら費用がかかるのか、会社設立の流れにそって設立費用の内訳を解説していきます。
会社設立の準備
会社印鑑の作成にかかる費用
費用相場 | |
---|---|
会社印鑑の作成 | 7,000円~8万円前後 |
会社形態と会社名が決まったら、設立手続きを始める前にまず、会社用の印鑑を作成します。会社印鑑は設立を進めるうえで必ず必要になるため、ゆとりを持って作成しておきます。
会社印鑑の作成にかかる費用相場は印鑑素材によってかなり違いがあるため、印鑑の購入代金も会社設立費用として念頭においておくと安心です。
定款にかかる費用
費用合計 | 費用内訳 | ||
---|---|---|---|
定款にかかる費用 | 約9万2千円 | 公証人手数料 | 5万円 |
印紙代 | 4万円 | ||
定款の謄本作成手数料 | 1ページ250円×2冊分 |
定款とは、会社を運営するうえで欠かせない基本事項です。会社設立をするときには、必ず定款の作成が必要となります。
なお定款は、下記の方法で作成できます。
- 紙ベースの定款を、自分で作成する
- 紙ベースの定款を、代行作成してもらう
- 電子定款を、自分で作成する
- 電子定款を、代行作成してもらう
会社定款の作成を代行業者に依頼する場合は、代行費用として約5,000円(税込)ほどかかります。電子定款とは、定款をパソコンデータとして電子化する方法。パソコンに詳しくない場合は、紙ベースで定款を作成するか、代行するのがおすすめです。
資本金払込にかかる費用
費用合計 | 費用内訳 | |
---|---|---|
資本金払込にかかる費用 | 数千円 | 銀行振込手数料×振込件数分 |
新会社法では、資本金の最低額についての規制が撤廃されました。そのため、株式会社は1円から、合同会社は実質0円で設立できるようになりました。
資本金の払込みは、会社設立の発起人が1名のときを除き、銀行振込を利用します。銀行振込の手数料は金融機関によって異なりますが、約200円~約600円(税込)となっています。
払込証明書を作成するときは、資本金を払込みした事実が分かる通帳のコピーが必要となるため、あえて銀行振込をして通帳にその履歴を残します。
設立登記にかかる費用
費用合計 | 費用内訳 | |
---|---|---|
資本金払込にかかる費用 |
| 登録免許税+各種証明書請求代金 |
会社を設立登記をするときは、登録免許税が必要です。登録免許税は、株式会社で15万円、合同会社で6万円となっています。
このほか、登記事項証明書の請求に1通あたり600円、印鑑証明書の請求に1通あたり450円がかかります。
また会社を設立登記をするときは、代表取締役や会社役員の印鑑証明書が必要となるため、こちらも請求に1通あたり約300円がかかります。
費用を節約して会社を設立する方法
会社の設立にかかる法定費用は、株式会社で約24万円、合同会社で約10万円。会社印鑑の購入費用や銀行振込手数料などを含めると、会社の設立には何かとお金がかかります。
会社を設立する上で、設立費用を少しでも節約したいなら以下のポイントを押さえておきましょう。
- 会社印鑑は、単品購入よりも設立セットがお得
- 定款は電子定款がお得(印紙代4万円が不要)
- 取引金融機関を統一して、振込手数料を節約
ここで気になるのが、どうして株式会社と合同会社では、会社設立にかかる費用に違いがあるのか?ということではないでしょうか。
つぎの見出しでは、株式会社と合同会社では、どうして設立費用に違いがあるのかを分かりやすく解説します。
株式会社と合同会社の設立費用の違い
ズバリ、会社を設立する費用だけを比較すると、株式会社よりも合同会社のほうが、会社設立費用は安く済みます。
ここでは、株式会社と合同会社の設立にかかる費用の違いを、会社設立の流れに沿って解説していきます。
会社印鑑にかかる費用
会社印鑑にかかる費用は、株式会社も合同会社も特に違いはありません。注意点として、合同会社を設立するときは、屋号を間違えないようにすることがポイントです。例:〇〇合同会社 または 合同会社〇〇
定款にかかる費用
会社形態 | 費用内訳 | |
---|---|---|
定款にかかる費用 | 株式会社 |
|
合同会社 |
|
株式会社を設立するときは、作成した定款の認証を受けることが必要です。一方、合同会社は公証役場での認証は不要なので、認証費用はかかりません。
資本金払込にかかる費用
資本金の払込みにかかる費用は、銀行への振込手数料分となります。資本金払込方法については、株式会社も合同会社も特に違いはありません。株式会社は1円から、合同会社は実質0円から会社を設立できると紹介しましたが、これは合同会社は出資金を出資余剰金にできることが理由です。
会社の資本金を少なくするメリット:会社の設立登記にかかる登録免許税を安く済ませることができる
会社の資本金を少なくするデメリット:資本金が少ないと会社の信用度が下がってしまう
会社の資本金をいくらにするかは、定款を作成するまでに決めておく必要があります。
設立登記にかかる費用
株式会社:登録免許税15万~ + 証明書請求費用合同会社:登録免許税6万円~ + 証明書請求費用
登録免許税は、会社の資本金により算出されます。
株式会社の資本金額 | 登録免許税 |
---|---|
2,143万円未満 | 15万円 |
2,143万円以上 | 資本金額×0.7% |
合同会社の資本金額 | 登録免許税 |
---|---|
860万円未満 | 6万円 |
860万円以上 | 資本金額×0.7% |
合同会社設立時の資本金が2,143万円以上の場合は、株式会社設立時と変わらない費用がかかります。
会社の設立登記時には、印鑑証明書や登記事項証明書の請求を行いますが、証明書の請求は株式会社を設立するときも、合同会社を設立するときも違いはありません。
まとめ①:株式会社と合同会社の設立費用の比較
ここでは、これまでに解説してきた会社設立費用について、株式会社設立時と合同会社設立時の違いを一覧にまとめ比較しました。
株式会社設立 | 合同会社設立 | |
---|---|---|
認証手数料 | 50,000円 | なし |
印紙代 | 40,000円 | 40,000円 |
登録免許税 | 150,000円~ | 60,000円~ |
登記事項証明書 | 600円 | 600円 |
印鑑証明書 |
|
|
法定費用合計 | 241,950円~ | 101,650円~ |
さらに、会社設立手続きに必須となる、会社印鑑セットの購入費用がプラスされます。会社印鑑は、印鑑素材によって7,000円~80,000円とかなり差がありますが、だいたい2万円くらいで予算を立てる場合が多くなっていますよ。
ここまでは、会社を設立する際に、一般的にかかる費用について解説してきました。
実は自分で会社設立するか、代行業者に依頼するかによっても費用に差が出てくるのをご存知でしょうか?
ここからは、自分で会社設立する場合と代行業者に依頼する場合でどのような違いがあるのかについて詳しく解説していきます。
自分で会社設立を進める場合
会社の設立は、すべての手続きを自分ひとりだけで行うことが可能です。自分ひとりで設立をしたからと言って余分な費用はかかりません。
ここでは、自分で会社の設立を進める場合の費用節約方法について解説します。
会社の設立費用を節約するには?
自分で会社を設立するときに、費用を節約するには、紙で申請するか、パソコンを使って申請するかどうかがポイントになります。下記表では、会社を設立するうえで、従来の方法による手続きとパソコンやインターネットを使った手続きの費用の違いを比較しました。
紙による申請費用 | オンライン申請費用(電子申請) | |
---|---|---|
定款の印紙代 | 40,000円 | 0円 |
定款の謄本請求 | 1ページにつき250円 | 700円+1ページあたり20円 |
登記事項証明書の請求 | 600円 |
|
印鑑証明書の請求(会社用) | 450円 |
|
ただし、会社の設立に関わる各種手続きをオンラインで申請するには、事前に下記の準備が必要となります。
- PDFファイルビューワー「Adobe Acrobat Reader 」の導入
- 代表者のマイナンバーカード
- 電子証明書の取得
- ICカードリーダライタ
これらの導入に苦労しない場合は、自分で会社の設立を進めるうえで、各種手続きの電子化はとてもおすすめできます。
電子化のメリット
電子化すると、定款の印紙代が節約できます。また、4枚を超える定款の場合、謄本を請求するときの費用がお得です。電子化の環境を整えておくと、会社設立後に各種書類が必要になった場合に、請求費用が節約できます。もちろん、申請はオンラインで済ませられるため時間短縮にもつながります。
また、会社の設立だけでなく、確定申告や社会保険・労働保険関係の手続き、特許のインターネット出願など、いろいろな電子証明書が利用可能となります。
電子化のデメリット
電子化するには、専用ソフトの導入など、事前準備が必要となります。会社を設立する場合のみに着目すると、すべてを一から導入すると、逆に費用が多くかかってしまうことがあります。代行業者・士業に頼む場合
少しでも、会社の設立に関して負担を取り除く方法の一つに、会社の設立を外部に依頼する方法があります。
ここでは、会社の設立を代行業者や司法書士などプロに任せた場合、どのような違いがあるかについて見ていきましょう。
会社の設立、どんなことが頼める?
会社の設立は、費用を支払うことで外部に依頼することができます。自分自身で会社を設立するときと比較すると、書類作成にかかる負担がかなり軽減できます。会社設立代行業者
- 株式会社設立費用:20万円前後
- 合同会社設立費用:6万5千円前後
自分自身で用意するものは、設立したい会社の基本事項と印鑑証明書のみ。全国各地どこからでも、インターネットを利用して代行業者が利用可能です。
費用は、代行業者によって異なるものの、株式会社で約20万円が相場となっています。代行業者では、電子定款を利用するため、印紙代にかかる費用4万円がかかりません。
代行業者へ支払う手数料分を含めても、実質3万円ほどの会社設立費用が浮く計算になります。
司法書士
- 費用:実費+報酬
会社設立代行業者との違いは、実際に面談をしたうえで、会社の設立を依頼できる点でしょう。会社の設立に関する手続きをすべて任せたいときにおすすめです。
ただし司法書士に依頼するときの費用は、報酬にかなり差があります。信頼できると感じても、報酬が高すぎると、費用負担が大きくなってしまいます。
司法書士の報酬は自由に決めることができるため、費用については十分に説明を受けてから依頼することが大切です。
行政書士
- 費用:実費+報酬
税理士
- 費用:報酬+顧問料など
また、会社の設立後は、経理面で税理士を頼ることが多くなるため、早めに信頼できる税理士を探しておくことをおすすめします。
最後の見出しでは、会社の設立にかかる費用について、実際に自分で設立をすすめた場合と、頼む場合の費用の違いについて比較し、わかりやすくまとめました。どちらの方が自分にあっているか考えながらご覧いただければと思います。
まとめ②:会社設立を自分で進める場合と頼む場合の費用の違い
会社を設立したいとき、会社の設立を自分で進めるのか、または代行業者などに頼むのか、果たしてどちらが良いのでしょうか。
ズバリ、会社の設立は頼んでしまうのが間違いありません。手続きにかかる負担と費用を比較し、費用に納得できるならば、代行業者などに会社設立を頼んでしまった方が間違いもないでしょう。
代行依頼した際の会社設立費用がお得な理由
会社の設立を代行依頼するときの費用相場は下記となります。- 株式会社:20万円前後
- 合同会社:6万5千円前後
代行業者 | 紙定款 | 電子定款 | |
---|---|---|---|
株式会社 | 20万円前後 | 約24万2千円 | 約20万2千円 |
合同会社 | 6万5千円前後 | 約10万2千円 | 約6万2千円 |
費用相場だけを見ると、自分自身で会社を設立するときの費用とさほど変わりはありません。中には、わざわざ代行業者に依頼しなくとも、自分で会社の設立を進めるほうが安心だと考える方もいらっしゃるかと思います。
しかし、代行業者のサービスには、下記が含まれています。
- 電子定款(印紙代4万円が無料)
- 定款の謄本費用無料
- 設立登記後、開業届出に関する書類作成無料
自分自身で電子定款を作成する場合ならば、手数料はかかりませんが、その分、時間と手間、そして専用ソフトの導入やICカードリードライタの購入など、そのほかの費用がかかります。
特に合同会社の設立は、株式会社を比較すると費用が安く済みます。なおかつ定款認証が不要なため、自分自身で会社の設立を進める方が多いです。
しかし、中には定款に不備があり変更が必要になってしまったり、思いのほか書類作成に手間がかかり、思うように設立が進まないケースもあります。
代行サービスを利用すると、書類作成にかかる時間を大幅に短縮できるため、その時間を別のことに回せるメリットがあります。
いかがでしたでしょうか。 少々長くはなりましたが、会社設立にかかる費用について詳しく解説させていただきました。
会社設立の費用はなるべく節約したいもの。節約した費用で、あなたの会社敵な会社印鑑が見つければとてもうれしく思います。
このページが、あなたの経営者として未来を切り開く第一歩となれば幸いです。
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